増える部下と業務量、現代の管理職が抱える「4つの課題」
信頼の崩壊、従業員の疎外感
■3. 信頼の崩壊 信頼はハイパフォーマンスチームの「秘訣」だが、それが当たり前とは言い難い。 従業員が会社の情報を得るために最も頼りにしているのは直属の上司だが、Staffbaseの調査では、従業員の56%しか「直属のマネージャーを完全に信頼している」と答えていない。 この信頼の崩壊は、マネージャーと従業員が「建設的なフィードバック」や「称賛」に対して持つ認識の違いに表れている。Leapsomeの報告によれば、マネージャーの71%が「先週、建設的なフィードバックを与えた」と答えたのに対し、実際にフィードバックを受けたと感じた従業員は37%に過ぎなかった。同様に、66%のマネージャーが「先週、称賛を与えた」と言っているが、それを受けたと感じた従業員は38%だった。 マネージャーが思っているほどフィードバックや称賛をしていないのか、あるいは従業員がそれを忘れやすいのか、どちらにせよコミュニケーションの欠如が信頼の欠落を招いている。 ■4. 従業員の疎外感 「グレート・デタッチメント(Great Detachment、深く不満を抱えているが、積極的に辞めることに踏み切れない従業員の増加)」は、最新の職場の課題を表す言葉である。従業員が辞職しないからといって、それが満足していることを意味するわけではない。 マネージャーとして、やる気を失った従業員をリードするのには限界がある。全員を背負ってゴールラインまで連れて行くのは、疲弊するだけで持続不可能だ。しかし、チームが退屈して幻滅し、最低限の仕事しかしていないとき、中間管理職はどのように対応できるのか。さらに悪いことに、多くのマネージャー自身も同様の疎外感を抱えながら、他者を鼓舞しようと苦労している。 この疎外感は、マネージャーにも従業員にも共通しており、組織全体で対処すべき問題である。 ■グレート・アンボシング 業務量の増加、信頼とコミュニケーションの欠如、広がる疎外感。これらすべてがあらゆるレベルのリーダーに負担をかけている。管理職を大切にする組織は、これらの課題を真剣に受け止め、マネージャーを支援するためのシステムを構築することになる。そうでなければ、「生き残った者たち」を潰し続け、最終的には誰も残らなくなるかもしれない。 この状況は暗いものだが、私たちが組織内のマネージャーを見直すきっかけにもなるはずである。マネージャーも疎外感を感じることがあり、誰もがそうであるように健全なワークライフバランスを必要としている。彼ら自身の能力が発揮できない状況では、従業員の能力を引き出すこともできない。 「グレート・アンボシング」の本質は、従業員が自ら意思決定を行えるようにするという発想だが、組織には常にリーダーシップが必要である。合理的な期待、意味のある支援、そして明確なコミュニケーションがあれば、変化し続ける職場環境の中でも効果的なリーダーを育てることができるだろう。
Mark C. Perna