衆院が解散、総選挙で与党大幅減なら政権不安定化-27日投開票
(ブルームバーグ): 石破茂首相は9日、衆院解散に踏み切った。首相就任から8日後の解散は戦後最短。与野党は事実上の選挙戦に突入した。派閥の裏金事件を受けて自民党への批判がくすぶる中、与党が議席を大幅に減らせば政権基盤はさらに不安定化する可能性がある。
総選挙は15日公示・27日投開票の日程で実施される。石破首相は9日夜の記者会見で、「この解散は日本創生解散だ。日本社会の在り方を根本的に変える」と述べた。衆院選の勝敗ラインは自民、公明両党で「過半数を目指したい」としたが、目標を割り込んだ場合の対応についてはコメントを避けた。
自民党は政治資金問題で処分を受けた前職らの一部を非公認とし、収支報告書に不記載があった候補者は比例代表への重複立候補を認めない方針だ。共同通信によると非公認は12人で、重複が認められない候補は40人程度に上る可能性がある。党内の亀裂が深まっており、選挙の結果次第で首相らの責任を問う声が上がりそうだ。
解散に先立ち、石破首相は党首討論に臨んだ。立憲民主党の野田佳彦代表は、政治資金収支報告書に不記載があった前職らを一部を除き公認する自民党の方針について「国民感情から到底、理解することはできない」と指摘。石破首相は「最終的な判断は主権者たる国民の皆さんにお任せする」と応じた。
石破首相は、非公認とした候補者が当選した場合に、自民党として追加公認する可能性を示した。来年の参院選も今回の衆院選と同じ基準で公認の是非を判断する方針も明らかにした。
JNNが5、6両日に行った世論調査で、内閣支持率は51.6%だった。調査方法の変更で一律に比較はできないが、2001年以降の歴代内閣の発足直後の支持率としては、08年に発足した麻生太郎内閣の51.1%に次いで低かった。いわゆる裏金議員を公認することには75%が「理解できない」と回答したという。
信頼回復
野党側は自民党の派閥裏金事件をやり玉に挙げ、与党批判を強めている。立憲民主党は7日に発表した政策パンフレットで、「政治への信頼回復が最優先の国家課題」と指摘。政治資金の徹底的な透明化などを掲げている。企業・団体献金禁止や政策活動費廃止のほか、国会議員の政治資金の世襲制限を打ち出した。