特定扶養控除の年収要件「150万円」に大幅緩和へ 与党税制大綱
自民、公明両党は18日、所得税がかかり始める「年収103万円の壁」の見直しについて、物価高を反映し、20万円引き上げて123万円とする方向で最終調整に入った。20日に決定する2025年度与党税制改正大綱に明記する。 【表でわかる】103、106、130万円…それぞれの「壁」でこう変わる 123万円への引き上げは25年分の所得から適用する。25年は源泉徴収ではなく、年末調整で対応する方針だ。 年収の壁の引き上げは、自公と国民民主党の3党の幹事長間で「178万円を目指して、来年から引き上げる」ことで合意し、税制調査会(税調)が具体策を協議してきた。 178万円への引き上げを求める国民民主は17日の会合で「協議打ち切り」(古川元久税調会長)を宣言し、協議は決裂した。ただ、自公は大綱に明記後も国民民主との協議継続を求めていく方針で、必要に応じて年明けの通常国会に政府が提出する税制関連法案の修正などを含めて検討する。国民民主の玉木雄一郎代表(役職停止中)は18日、「3党の幹事長間の合意は無視される形で大綱が決定されるのは驚きだ」と批判した。 現行の年収103万円の課税水準は、最低限の生活費に課税しない基礎控除(48万円)と会社員らの経費を差し引く給与所得控除(55万円)の合計。自公は、1995年以降の食料や家賃、光熱費など生活に身近な物価の上昇率に基づき、それぞれ10万円ずつ引き上げ、課税水準を123万円にするとしている。 また、大学生ら19~22歳の子を扶養する親らの税負担を軽くする特定扶養控除の年収要件についても大幅に緩和する。国民民主の要望を踏まえ、現行の103万円から150万円に引き上げる。150万円を超えた途端に扶養対象外にならないよう、控除額を段階的に減らす仕組みも導入する。 年収の壁の争点の一つだった住民税の基礎控除(43万円)は据え置くことにした。3党の税調協議で所得税の議論を先行し、住民税の議論ができなかったため。一方、給与所得控除(55万円)については税法上の規定に基づき、所得税と連動して控除額を10万円引き上げる方針。政府試算によると、国民民主の要望通り基礎控除を75万円引き上げると住民税は約4兆円の減収になることから、地方財政への影響も考慮したとみられる。【杉山雄飛、古川宗、福富智】