ロッテ里崎、前代未聞の熱唱して引退!
角中、涌井のヒーローインタビューが終わった後に場内が、暗転して行われた里崎の引退セレモニー。花束贈呈の後、マイクを握った里崎のスピーチは、「今日をもってプロ野球選手を卒業します」で始まった。重光オーナーをはじめ、関係各位への感謝の気持ちを言葉にした後、「成瀬さんを始め、投手陣の皆さん、放送席にいる薮田さんを始め、OBの投手の皆様、本当だったらもっといい成績を残せたと思います。僕の力が足りず、その能力を引き出せずにすみませんでした」と、謝罪の意を伝えた。 捕手が投手の力を引き出し育てる。捕手の本当のリードとは単なる配球論ではない。ずっと一人だけ8人の味方の方向を見て野球をやってきた男の強い責任感とリーダーシップが言わせた言葉だったのかもしれない。「ここからは個人の話になります」と、ベンチへ体の方角を向きなおした里崎は、敬語をやめ、ため口で、熱いメッセージを残した。「みんなの力と能力を今年は出せていないと思う。もっと頑張れるはずや。成瀬!おれはいなくなるけれど、おまえが、みんなを引っ張っていってくれ」 長い引退スピーチを里崎は、「千葉ロッテマリーンズ!ありがとう!」という絶叫で締めくくった。マイクを置くと、里崎はゆっくりと場内を歩きはじめた。ちょうどライトスタンドの前を差し掛かるときに、一斉に紙吹雪が舞った。3万人の惜別と感謝の気持ちで場内はまるで別世界のように真っ白になった。ファンとタッチをしながら場内をゆっくりと一周した里崎はホームベース前に来ると、しゃがみこみ、ホームベースの上の土を手で払って綺麗にした。キャッチャー一筋。里崎らしいサヨナラの挨拶だった。 引退セレモニーを終えた里崎は、ベンチ裏で、CSテレビの生中継に出演してペン記者の囲み取材を終えると、球場外の正面玄関前に作られていた特設ステージに登場した。里崎の最後のライブパフォーマンスを期待した約5500人のファンでステージ前は膨れ上がっていた。2005年のシーズン、試合後の里崎のライブ歌唱パフォーマンスは、ファンを楽しませる千葉ロッテでしか味わえない名物だった。「最後は好き勝手やらせてもらうって言っていたでしょう。もう野球選手が野球だけをやっていればいい時代ではない。いろんなことでファンに楽しんでもらうことが大事だと思う。それで一人でも多くのファンに足を運んでもらえれば。だから、これが本当に僕の最後の仕事です」