<独自>防衛財源、所得税増税の先送り論や撤回が浮上 政府・与党 詰めの調整急ぐ
防衛力強化へ向けた増税の対象である法人、所得、たばこの3税のうち所得税について、政府・与党が増税の先送りや撤回を検討していることが7日、分かった。同じ所得税を巡り「年収の壁」対策として減税を検討しながら防衛増税の議論を同時に行うことは、国民の理解を得られないとの懸念がある。ただ、所得税の増税自体を撤回すれば、新たな防衛財源を確保する必要に迫られる。 【グラフでみる】平均年間給与が最も高かった業界は? 2位は証券取引業 所得税の増税時期の先送りや撤回論が出始めた背景には、自民、公明、国民民主の3党による政策協議で、年収の壁対策として所得税の減税幅が主要な論点に浮上しているという事情がある。手取りの増加が期待できる政策だけに、生活者の関心も高い。 その結果、所得税に関しては、年収の壁対策で減税の議論と、防衛力強化に関して増税の議論とを同時に行う状況となっている。このため、与党税調幹部から、所得税の増税を予定通り行うことへの慎重論が出始めた。 防衛増税は岸田文雄前政権下の令和5年度税制改正で決定。9年度に3税で計1兆円強の財源を捻出する計画で、このうち所得税で2000億円を確保する。 ただ、岸田政権の支持率の低下などもあり、6年度改正では増税開始時期の決定を先送りした。国民民主も防衛増税には慎重な立場を取る。 一方で、「過去の税制改正大綱の決定をいつまでも先送りできない」(与党税調幹部)との声もあり、与党内でも温度差が生じている。7年度税制改正大綱の年内決定に向け、防衛増税における所得税の扱いについて、与党は詰めの調整を急ぐ。