大谷翔平「つらいのは自分だけじゃない」 過去の肘故障でチームメイトが目撃していた大谷の“流儀”とは
■肘を故障しても大谷は「つらいのは自分だけじゃない」
怪我で意気消沈するどころか、大谷はアメリカン・リーグのトップ打者に躍り出たのだ。 「とても光栄に思っています」MLBネットワークで大谷はそう話した。「怪我で6週間離脱したあとに復帰できて、また賞をいただけたので」 これまでもそうだったが、大谷には人々を温かい気持ちにさせる力がある。多くの視聴者は、大谷のインタビュー映像を初めて観たものと思われるが、通訳の水原一平を介しても、大谷の礼儀正しさと他者を思いやる心は充分に伝わってきた。 メディアに追いまわされ、何十人もの日本人記者がつきまとうことについてコメントを求められると、大谷はこう答えた。 「日本のメディアがたくさんクラブハウスに来ていると、むしろチームメイトへの影響が心配ですね。気が散るんじゃないかと」 このような気遣いは、肘の故障がふたたび明らかになったときにも見られた。多くの球団関係者が大谷の負傷に肩を落とす中で、人々に笑顔を取り戻そうと、その週に大谷は素晴らしいプレーを見せてくれた。 「つらいのは自分だけじゃないですから。支えてくれる皆さんにも、つらい思いをさせてしまっているので」大谷は言う。「いいプレーをすることで、明るいニュースを届けられればと思っていました。だからよかったと思います」 *** MLBでのシーズンMVP(最優秀選手賞)2度受賞、WBC2023の優勝、そして今回のワールドシリーズ優勝。 飛躍を続ける大谷翔平選手の姿勢や言葉には、その秘訣が詰まっているのだ。 【著者】ジェイ・パリス スポーツ・ジャーナリスト。主な著書に『Game of My Life San Diego Chargers』、『Game of My Life Rams』などがある。全米プロフットボール記者協会の記者賞を3度受賞しており、現在はMLB.com、Forbs.com、AP 通信の記者として活躍している。カリフォルニア州、サンディエゴ在住。 【訳者】関 麻衣子 千葉県生まれ。青山学院大学文学部卒。おもな訳書に『その輝きを僕は知らない』ブランドン・テイラー、『ボーイズクラブの掟』エリカ・カッツ(いずれも早川書房)、『リオネル・メッシ(MESSI GRAPHICA)』サンジーヴ・シェティ(東洋館出版社)など。 協力:辰巳出版 辰巳出版 Book Bang編集部 新潮社
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