ハースF1小松礼雄代表が語るマグヌッセンの献身……しかし彼ひとりだけでは成し得ない成果「チーム一丸になっているから出来るんだ」
ハースF1の小松礼雄代表は、今季ここまでチームの成績を強力にサポートしているケビン・マグヌッセンの働きぶりを賞賛。ただ、マグヌッセンだけが頑張っているわけではなく、チーム全体が相乗効果としてモチベーションを高めていると語った。 【動画】バルテリ・ボッタス、チャリで来た。F1日本GP決勝へ向け鈴鹿に自転車通勤 ハースは今季第2戦サウジアラビアGPで、ニコ・ヒュルケンベルグが10位入賞を果たし、今季初ポイントを獲得した。これは、ペナルティを受けたことで上位進出の可能性が潰えたマグヌッセンが、後続のマシンを徹底的に抑え込むという仕事を成功させたためだ。 また、第3戦オーストラリアGPでマグヌッセンは、よりペースを発揮できるタイヤを履いていたヒュルケンベルグを、チームオーダーに従ってすぐに先行させた。これによりヒュルケンベルグが9位、マグヌッセンは10位とダブル入賞。一時ヒュルケンベルグは、8番手でフィニッシュした角田裕毅(RB)の背後まで迫るシーンもあったが、これはマグヌッセンがチームの指示にすぐ従ったことが大きかった。 そのマグヌッセンの貢献について小松代表は、次のように語った。 「昨年は、我々のマシンの弱点と、ケビンのドライビングにおける弱点が合ってしまった。そのため、彼にとっては特に苦しいシーズンになってしまいました」 そう小松代表は語る。 「ニコは予選では速い人ですが、ケビンだって決して予選で遅いドライバーではない。それは、今年を見ていただければわかると思います」 「今年のケビンは、去年とは全然違います。モチベーションも、食らいつき方も、全然違うんですよ」 それは小松がチーム代表になるなど、体制が変更されたことと関係しているのかと尋ねると、次のように説明した。 「体制が変わって、やる気が違ってますよね。彼には、これから良くしていこうという気持ちがあると思います」 「以前までは、こんなの良くなるわけがない……と思ってしまっていたところもありました。でも今は良くしていける、そこに自分がどんな役割を果たすことができるのかということも、自分でよく分かっている。自分で違いを作っていけるのが分かっているんですよ。そうなれば、やる気も自然に出てくるじゃないですか」 「彼は、自分が今、何のために、何をしているかということを、100%分かっているわけです。大きなゴールじゃないかもしれないけど、もっと小さな、短期的なゴールが見えているんです」 それが、サウジアラビアGPでの闘い方にも表れていたと、小松代表は言う。 「中団グループの争いがどれだけ厳しいか、分かるわけですよ。チームにとって1ポイントがどれだけ大きな意味を持つのかが分かっている。だから、ジェッダでああいう闘い方をしろと言っても、完璧にやってくれるわけです。すごいでしょ?」 マグヌッセンはこのレースで、RBの角田裕毅以下を完璧にディフェンス。一時角田に先行されるシーンもあったものの、直後に抜き返して、ヒュルケンベルグの入賞を完璧にサポートしてみせた。その戦いぶりには、感動すら覚えたと小松代表は言う。 「1回角田選手に抜かれました。ピットでは、ついにやられちゃったか……と思ったんですが、抜き返してくれた。それはもう、感動しますよ。彼は、チームにとってそれがどれだけ重要か、分かってる。だからやるんですよ」 「オーストラリアでも、チームとして1回目のピットストップをタイミング的にミスしてしまい、ポジションを落としてしまった。一方でニコはVSC(バーチャル・セーフティカー)の時にピットインして、ミディアムタイヤでケビンのすぐ後ろにやってきた。そして『ニコの方が速いから、前に行かせてくれ』と言うと、すぐにやってくれるわけです」 「もちろん、彼の立場ではハッピーじゃありません。でも、チームが点を取るためには、ニコを行かせなきゃいけないと分かっている。だから、やるんです。それで喧嘩にもならないし、ガチャガチャ言ったりしない。そこは感謝しています」