ベテラン限定「絶景を目指さない」山歩きの趣とは!? “山で一人”が好きライターのディープなハイキング
登山の楽しみは山頂からの絶景だ。しかしある程度、登山経験が長くなってくると眺望以外の楽しみにも興味が湧いてくるものである。ある人は野鳥や野草に興味が芽生え、またある人は山の写真に目覚め、またまたある人は三角点にはまってしまうなど、興味も人それぞれ。 ■【写真16枚】眺望がなくても標高が低くても、趣をたのしむ! 戦国の名残りや地場の逸話での新たな発見がうれしい、完全な「ひとり時間」満喫するハイキング(写真をすべて見る) 今回紹介する山は、兵庫県三田市にある西鎌倉山(にしかまくらやま・460m)。山頂からの眺望はあるにはあるが、絶景とは言い難い。しかし眺望が無くても登りたい山なのである。そんな山の眺望以外の魅力を紹介しよう。
■なんで関西なのに西鎌倉山?
北摂(摂津国北部:大阪府北部、兵庫県南東部)には鎌倉幕府5代執権 北条時頼(ほうじょうときより)伝説が各地に残る。執権を退職した後、最明寺入道(さいみょうじにゅうどう)と名乗り、北摂の山々で修行したらしい。そして最明寺入道が修行したと伝えられる場所の地名には、大抵「鎌倉」がついている。 西鎌倉山について、筆者は北条時頼伝説を見つけることはできなかった。しかし、恐らく北条時頼伝説の地だったのであろう。
■JR藍本駅から登山口までが意外に楽しい
JR藍本(あいもと)駅から西鎌倉山登山口まで寄り道しなければ約2km。徒歩約25分程度である。 しかし、ちょうど中間地点にある「藍丸山(あいまるやま)城跡」にはぜひ寄り道してほしい。ここは室町時代の豪族、赤松氏一族の城跡。標高197mの山頂には櫓(やぐら)のような東屋がある。ここから眺める武庫川(むこがわ)と日出坂洗堰(ひでさかあらいぜき)が、最高に美しい。 城跡入口の標高は179m。山頂までの標高差は20mだ。
■ちょっと冒険心をくすぐられる登山道
マイナーな山あるあるだが、西鎌倉山登山口には道標がない。本当にここであっているのか心配になるが、地図とあわせてスマホのGPSで現在地が特定できる。本当に便利な時代になったものだ。 登山道の大部分は沢沿いを進む道だ。倒木が多いうえにガレてはいるものの、道ははっきりしておりわかりやすい。途中きれいな池があり、池を過ぎた杣(そま)小屋辺りから登山道が不明瞭になってくる。ただそれでも、道標のテープを見失わなければ迷うことはない。 迷いやすいところは、登山道が沢を離れ山頂に向かう急登になる辺りだ。道がわからなくなったら、ひとつ前の道標まで戻り、次の道標を探すとよい。色あせていたり、倒木の陰に隠れていたりすることもあるが、必ず見える範囲の距離に次の道標はある。 沢からの急登を登りきると、西鎌倉山山頂だ。山頂には鉄塔があり、絶景とは言い難いが多少眺望はある。ただ鉄塔のおかげで開放感があり、休憩には最適なスポットであった。筆者もここで弁当を食べながら休憩。ちなみに西鎌倉山は登山口から山頂まで、ゆっくり歩いて2時間程度である。