腎機能の回復を目指す4つの体操|体の巡りをアップして腎臓の負担を軽減【腎臓専門医監修】
腎機能の専門医が考案 1セット1分体操 【4】
運動は「強度」が重要で、「少しきつい」と感じるくらいの負荷が必要となる。ウォーキングの場合は息切れするかしないか程度のスピードで、1日20~30分が目安だという。 ただし、時間が取れない人やそこまで体力が無い人も多い。 そこで上月さんが考案したのが、腎機能を自力で鍛える1分体操だ。 「1セット1分の体操で筋肉を鍛えることで、サルコペニア(骨格筋量の低下)やフレイル(身体の虚弱化)を防ぎ、腎臓を強化できます」 1分体操は全身の筋肉を無理のない強度で鍛えられるため、腎臓の大敵である血圧上昇を招かずに行なうことが可能だ(下の図解参照)。 筋肉は破壊と修復の「超回復」により強化されるため、1日おきに行なうことが望ましい。 「1分体操とウォーキングを組み合わせることで、末期腎不全を宣告された60代男性が6週間後に数値が改善して透析を回避できたケースもあります」 腎機能を高めて健康ライフを謳歌したい。
【1】基本の運動療法「壁プッシュ」
「通常の腕立て伏せより簡単に腕と胸、肩の筋肉を鍛えられます。姿勢をまっすぐに保ち、かかとが床から離れないようにします。鼻から息を吸いながらひじを曲げ、口から息を吐きながら腕を伸ばします」 <1>両腕を肩の高さで伸ばして壁に向かって立つ。 <2>鼻から息を吸いながら5秒かけてひじを曲げる。 <3>息を吐きながら5秒かけてひじを伸ばす。 ※1分間で5回繰り返す
【2】腎臓への負担を減らす「背筋反らし」
「うつぶせ状態で両手・両足を持ち上げることで、足や腕を動かして全身に新鮮な酸素や栄養を送り、腎臓の細胞を守って腎機能を高めます」 <1>うつぶせの状態で両手両足を伸ばす。 <2>を吐きながら5秒かけて左手・右足を持ち上げ1秒キープする。 <3>鼻から息を吸いながら5秒かけて姿勢を戻す。手足を逆にして<2>を行う。 ※1分間で3回繰り返す
【3】腎臓周辺と足腰の筋肉を鍛える「レッグレイズ」
「仰向けの状態で足を曲げ伸ばしし、腹筋と腸腰筋を鍛えます。手をしっかりと床に付けて、体を支えることを意識しましょう。結果、歩く力が付き、血圧を下げる一酸化窒素の産生を促します」 <1>両足を肩幅に開き手を床に付けて仰向けになる。 <2>息を吐きながら5秒かけてひざを胸に引きつけて1秒キープする。 <3>5秒かけて息を吸いながら床に足を付けないところまで下ろして<2>を繰り返す。 ※1分間で5回繰り返す
【4】腎臓の血流を促す「バックブリッジ」
「寝たままできて効率的なのがバックブリッジです。お尻などの筋肉を鍛えることで歩行が安定し、腎臓を含め全身の血流を良くします。どの体操も息を止めないことが重要です。また、慣れてきたら少しずつ負荷を強めることが理想ですが、くれぐれも無理はしないようにしましょう」 <1>両手の体のわきを置き、ひざを立てる。 <2>息を吐きながら5秒かけてお尻を持ち上げ、10秒キープする。 <3>息を吸いながら5秒かけてお尻を床に戻す。 ※1分間で3回繰り返す ※週刊ポスト2024年11月1日号