キリンビバレッジの「午後の紅茶」が発売から38年も人気を得ている理由
冬に売れる「午後の紅茶」が夏にも売れるようになった
30年以上前、こうやって茶葉を使い分けていたと聞いたときには本当に驚きました。しかも、何%入れてブレンドすれば最も理想に近づけるかも、とことん追求している。今も微調整が行われていますが、スタンスは変わりません。 大きなリニューアルが3年に1度くらいの頻度で行われていますが、今年のリニューアルでも味は変わりました。 ストレートは後味の良さを強め、飲んだときの華やかさは高めながら、飲んだ後はちょっとすっきりするように。 レモンティはレモン感をもう少し感じていただけるような変更を。ミルクティーはミルクのコク感が求められるので、それをより感じていただけるように。 私たちがさまざまに情報収集をして、こうした方向性を出すと、開発チームから10種類ほどのサンプルが出てきます。それを飲んでフィードバックして、と繰り返していきます。そうやって、理想の味に近づけていきます。それにしても、味を開発するチームのすごさをいつも思います。 大学時代は、競走部に所属。大学2年から3年間、箱根で7区を走りました。飲む、食べるのが好きだったことが、入社動機でした。ビールの営業からマーケティングに異動し、「キリン のどごし〈生〉」「麒麟特製」「氷結®︎」などを担当。 「午後の紅茶」を担当することになったときはうれしかったですね。これほど多くの方に愛されているブランドは、なかなかないですから。 まず取り組んだのは、夏対策でした。もともと紅茶は冬によく売れていたんです。でも、アイスティーはよく飲まれますよね。そこで夏の紅茶のイメージを作っていくアイスティーキャンペーンを始めたんです。 氷を入れたグラスで飲む提案をしたり、ビーチで飲むシーンを想起してもらったり。社内でも当初は懐疑的でしたが、「夏に売れたら、すごくないですか」と粘って展開したら、大きく火がつきました。前年度比20%増になった月も。 まだまだポテンシャルは潜んでいると思っています。
上阪 徹(ブックライター)