ヤンキースが182億円を払える理由
田中将大が、ヤンキースと結んだ7年、1億5500万ドル(約161億円)の契約は投手では、メジャー史上5番目の大型契約である。他のチームが、どの程度のオファーをしていたかは明らかではないが、メジャーで1球も投げたことのない投手に、これだけの投資が出来るのは、やはりヤンキースだけか。 [表・記事]マー君と江川卓の共通点
■贅沢税の回避の目標を撤回 田中との契約により、ヤンキースは、目指していたチームの年棒総額を1億8900万ドル(約196億円)以下に抑えることは難しくなった。その規定額を上回ると、ヤンキースの場合、50%もの贅沢税を課せられる。その回避を、数年前から意識して年棒の圧縮を図り、先日、アレックス・ロドリゲスに1年間の出場停止処分が下ってヤンキースの負担額が大幅に減ると、その実現の可能性が高まったが、「田中のような選手を獲得するには、お金がかかる」(ブライアン・キャッシュマンGM)として、事実上、上限を守るという目標を撤回したのだった。 田中との契約後、ハル・スタインブレナーオーナーが、地元紙の取材に対して、こんな発言をしている。「プレイオフに出られなかったことで、計画を変更せざるを得なかった」 さらに言う。 「チャンピオンシップチームを作るには、そんなことに縛られるわけにはいかなかった」 ■壊れたら新しいものを買う そんなこととは、贅沢税を避けるための上限の話。プレーオフに出られなかったチームのオーナーらが、悔しい思いをしているのは、どこも同じだ。それでもほとんどのチームは限られた予算の中で、やりくりをするしかない。ヤンキースだけは少々違う。壊れたものを直すことはしない。壊れたら、新しいものを買う。それが、ヤンキース。 それにしても、それを可能にする圧倒的な資金力はどこから来るのか。莫大な予算は、どう生まれてくるのか?大半のチームとは予算規模が一桁違うが、それを辿ると、やはり見えてくるのは、彼らの人気とテレビマネーである。