ヤンキースが182億円を払える理由
■ヤンキースの収入はメジャーで断トツ まず、正式な数字は公表されていないが、米経済紙「フォーブス」によると、2013年のヤンキースの収入は、メジャー30球団の中で、断トツの4億7100万ドル(約489億円)だったという(2位がレッドソックスで、3億3600万ドル(約349億円)。 主なものは、チケット収入が2億9500万ドル(約306億円)とテレビ放映権が8500万ドル(約88億円)で、チケット収入も、リーグトップ。他チームは2億ドル(約208億円)にも届いておらず、大きな差がある。新球場に移転以来、ヤンキースの観客数は、年間平均358万人を越えており、この安定した集客力は、彼らの大きな資金源の一つだ。 ■放映権だけじゃない”テレビマネー” もう一つのテレビマネー。これは、他チームとは事情が異なる。ここ数年、フリーエージェント市場などで元気があるのは、レンジャーズやエンゼルスだが、彼らはともに、年間1億5000万ドル(約156億円)ほどの地元放映権収入を、補強の原資としている。 一方のヤンキースは、前述したように約88億円しかない。これでは、大きな資金源とは言い難い。その額が低い理由は後で触れるが、実は彼らには、それとは別の財布があるのだ。ヤンキースは2002年、別会社を作って、別の出資者とともに「YESネットワーク」という自前のテレビ局を立ち上げたが、実は、2012年の暮れ、放映権も含めた49%の所有権を総額30億ドル(約3120億円)という巨額でFOXテレビに売却したのだ。このとき、5億ドル(約520億円)の頭金をヤンキースは手にしている。 正確にいえばこれは球団の収入ではないが、結局は上で繋がっているのだから同じこと。この莫大な売却益が、どう使われたかは、言わずもがなか。同時に売却された放映権料は、昨季の約88億円から徐々に上がり、2042年には3億5000万ドル(約363億円)まで跳ね上がることになっている。向こう30年間、ひとまずは安定収入もある。 さらには、まだヤンキースは、年間2億ドル以上(約208億円)の利益を生む「YESネットワーク」の所有権を27%持っている。彼らには、いろんなところに別の財布があるのだ。