パラ車いすテニス「金」田中愛美選手が笑顔の里帰り…「自分も周りも幸せになる」気持ちの持ち方
パリ・パラリンピック車いすテニス(女子ダブルス)で、日本女子初の金メダルを獲得した田中愛美選手(28)(長谷工コーポレーション)が15日、生まれてから3歳までを過ごした熊本県菊陽町に里帰りし、吉本孝寿町長らに大会での活躍を報告した。 【写真】車いすテニス女子ダブルスで金メダルに輝いた上地結衣(左)、田中愛美組(5日、パリで)
金メダルを首に掛けて、町役場を訪ねた田中選手は、職員や町民らに拍手で迎えられた。「(町で)パブリックビューイングをやると聞いていたので、決勝ではたくさんの応援を感じながら試合に臨めました」とあいさつ。田中選手に町PR大使を委嘱した吉本町長は「障害を持っている方にも強いメッセージを発信した」とたたえた。
上地結衣選手とのペアで臨んだ今大会。オランダ勢と対戦した決勝は、3時間にわたる激闘だった。田中選手が集中的に狙われる場面もあったが、スライスやドロップショットを駆使して食らいつき勝利をつかんだ。「勝ったときは金メダルの喜びよりも(試合が)終わった、という解放感がありました」と振り返った。
町民からの「障害者スポーツに取り組むジュニア選手に一言」という問いには、「障害を持つ人は『誰かに必要とされたい』と思い、人の求めることをやることが多いかもしれない」と述べ、こう続けた。
「でも『自分のやりたいことで人を喜ばせたい』という気持ちを持つと、自分も周りも幸せになる」
14日には、4月に亡くなった祖母・文子さんに別れを告げるため、同県益城町の寺を訪れた。生前田中選手の写真を携帯の待ち受け画面にしていたといい、「私のことをすごく応援してくれていた。うちの孫は金メダルを取ったのよ、と言ってくれていると思う」と涙をみせた。