かつてはのろし、今はレーダー基地……国防の要所、佐賀・神埼 脊振山
国内旅行でも人気の高い九州地方。中でも福岡、長崎は観光客が多く訪れるエリアだ。その両県に挟まれた佐賀県だが、かつて“文明ロード”と言われた長崎街道に沿って多くの宿場を有し、古くは弥生時代からの遺跡も残っている。日本の国の成り立ちをうかがわせるそんな歴史のあるまち、佐賀の神埼を訪ねた。
佐賀県と福岡県の県境に位置する脊振山。標高1,055mの山頂には、脊振神社上宮弁財天が祀られている。 脊振山(せふりさん)はこの上空で龍が背を振ったことからそう呼んだと伝えられている。古くから山岳信仰の霊場とされていて“脊振千坊”と呼ばれるほど多くの僧坊があった。 現在、脊振山山頂には航空自衛隊のレーダー基地もあり、国防の要所となっている。神埼市内にある標高148mの日の隈山(ひのくまやま)は、奈良時代、有事や外国の使節などが来航した時に太宰府にそれを伝える烽火(のろし)をあげた跡地で通信手段として使われていた。時代を超えて、ここ神埼は国防通信の重要拠点であったようだ。 (2017年3月撮影)