担当者の“願書出し忘れ”で生徒が志望高校受験できず、中学校側「和解金30万円」を提案...校長「二度とくり返さない」
福岡県にある私立・博多女子中学校の担当者が願書を出し忘れ、同中学校の生徒3人が希望する高校の入試を受験できなくなった問題が話題となっている。なぜこのような問題が発生してしまったのだろうか。
締め切りを県立高と勘違い、受験予定の高校は「組合立」だった
ことの経緯はこうだ。 中学校に通う3年生の女子生徒は、福岡にある「公立古賀竟成館(こがきょうせいかん)高校」を受験する予定だった。高校に願書を提出する期限は2月16日(金)正午だったものの、中学校の担当者らは期限を県立高校の願書提出締め切り日である2月20日(火)と勘違いしていたのだ。それに気づかない担当者は、16日の14時に早めに願書を提出したが、高校側は「提出期限を過ぎた」として願書の受け取りを拒否。校長は「なんとか」と交渉を図ったが、高校は「例外はない」として再度拒否。結局、3人の生徒は入学試験を受験できなかった。 古賀竟成館高校は、市・町で組織している「組合立高等学校」。1962年に古賀町、新宮町、福間町、津屋崎町(当時、現在は2市1町)が高校組合を組織して創立した全国的にも珍しい高校だ。2009年には新しい校舎が完成するのに合わせて校名を「古賀高校」から現校名へと変更するなどした。公立という名前がついていても、県立高校とは違う性質を持っているのである。
説明会では厳しい声、統括校長「しっかり管理していたつもりだったが...」
騒動を受け、中学校は保護者を対象とした説明会を3月2日に開き、ことの経緯を説明した。中学校の「教育の特色」には、「レベルの高い公立高校への進学」「福岡市内で唯一、3年後の進路選択ができる私立中学校」などのアピールポイントがあり、「行きたい高校に行かせる」を念頭に置いた教育方針を打ち出していた。そんな中学校に自分の子どもを通わせている保護者だけに、教育熱心なはずだ。説明会では厳しい声が相次いだ。 「誠意が感じられない」 「許せない」 一部報道では、和解金として30万円を支払うと提案したとの情報がある。保護者が学校側を提訴するという情報もあるが、子どもが置いてきぼりにされていないか。少し立ち止まり、子どもと話し合ったうえで結論を下してほしい。 では実際のところ、願書等のチェック体制はどのようになっていたのだろうか。渦中にある中学校の統括校長が本稿記者の取材に応じた。 まず聞いたのはチェック体制だ。生徒の将来を決めるかもしれない重要な入試の願書を、1人で管理させているはずはないし、学校が間に入って願書を一括で受けつけて提出することも珍しいと感じる。 本稿記者の取材に対し、統括校長は「進路指導部とそこに携わる3学年のメンバー4~5人で私立・公立高校の願書を取りまとめて一括で管理しており、互いにチェックしていた。リストも作って管理していたつもりだったが、しっかりと連携できていなかった。明確な(期限の)表示もしておらず、同時期に出願時期だった公立高校の出願と間違えてしまった」と経緯を明かした。