「金」よりずっと安いのに いま「銀」が急高騰しているワケ
インフレを懸念してなのか、金が高値を更新し続けている。直近の価格は1グラムで1万4580円(11月11日)。そんなに高くては手が出ないと嘆いている人には「銀」がある。価格は1グラム約173円と、金よりも2桁安いが、ここ2年ほどは、金と連動するように上昇を続けてきた。 【写真をみる】手軽に「銀投資」を始める方法は?
銀価格が金に連動する理由
日本貴金属マーケット協会代表理事の池水雄一氏が言う。 「銀が金と似たような動きをするのは、昔から宝飾や通貨に使われる“貴金属”と見なされてきたからです。同じ重さで金価格と銀価格を比べた“金銀比価”という指標があり、いまは大体1対80ですが、この比率が大きくなれば金高銀安。逆に縮まれば金安銀高。セミプロの投資家たちは、この金銀比価を見ながら、金や銀のトレードを行うわけです」 ただし、長期になると金と銀の値はずっと一致しているわけではない。 「それは金と銀で使われ方が違うからです。金は9割が宝飾用や国家備蓄として買われますが、銀は半分近くが工業原料となる。だから、銀を使う産業が活発な時は、銀価格が高めに推移します」(同) では、銀に投資するにはどういった方法があるのだろう。例えば、貴金属の販売・買い取りを行っている田中貴金属工業では、以前は30キロのバーを現物で販売していた。が、客と従業員の安全を考慮して、現在は口座だけの取引としている。また、上場されている銀のETF(上場投資信託)は株と同じように売買できる。
銀投資ならやっぱり現物?
一方、銀投資ならやっぱり現物という人もいるはず。26万人の登録者がいるユーチューバーの「やさぐれメタル」氏もその一人だ。同氏は基板などから金を抽出して金塊を作る動画を公開しているが、3年ほど前から銀の収集も始めた。 「祖父が残してくれた明治時代の銀貨を手にしたことがきっかけで、銀製品を集めるようになったのですが、今では17キロほど持っています。魅力はやはり長期で持っていると値上がりすること。手軽に銀の現物投資をしたいならコインショップで昔の銀貨を買うことから始めるといいですよ。ただ、私の場合は持っているだけでは気が済まなくて、手持ちの銀を溶かしてフライパンを作ろうと考えています。これで料理を作ると、すごくおいしくなるそうです」 眺めるほかにも使い道があるのが「銀」なのだ。 2024年11月14日号 掲載
新潮社