息を吹き返した交流戦はどう改正すべきか
9年目を迎えたプロ野球交流戦が終了した。最後は、日ハムの大谷が広島戦で「先発・5番」というセの本拠地ではDH制度のない交流戦ならではの野球マンガのような世界を実現してファンの注目を集めた。今季の交流戦では、ソフトバンクが優勝したが、藤浪vsマー君の投げ合いなど、セ、パ共に新戦力が台頭したことで、交流戦でしか見ることのできない新鮮な真剣勝負が熱かった。 今季交流戦の観客動員数をチェックすると、交流戦までのリーグ戦の平均数と比較して交流戦の平均観客動員数が落ちたのは、わずかに100人ほど劣った阪神だけ。パは、どのチームも、交流戦での観客動員は好調で、セでは、中日、ヤクルトも百人単位という微増ではあるが、交流戦の平均観客動員数がリーグ戦のそれを上回った。 ホーム&アウエーを隔年として3試合の18試合制に見直そうという案がセ側から提案されていた。その理由のひとつに通常のリーグ戦に比べての交流戦での観客数の目減りが挙げられていた。つまり、交流戦を減らし巨人、阪神戦を増やしたいというわけである。しかし、今季の動員結果は、セ側の交流戦縮小案の根拠をひとつ崩すことになった。 パは7日の実行委員会で、現行制度維持の方向性を確認、セの提案を受け入れない態度を表明している。 私は、セ側の18試合制を打ち出してきた旗振り役はヤクルトと広島の2球団だと思っていた。しかし、広島の関係者に聞くと、「基本は、現状の24試合制に賛成。ただ、移動日や雨天中止用の予備日など無駄の多い日程をどうにかしたい」という考えらしい。であるならば、その無駄の部分の調整がつけば来季も24試合制が維持される方向で進むだろう。 しかし、交流戦が過渡期を迎えていることも確かだ。水面下では、この18試合制度以外にも改正案として、いくつかのアイデアが出されているという。ひとつは開催時期の分割制の導入。1か月の集中開催にせず春、夏に分けようという案だ。もうひとつが、メジャーのインターリーグのように通常のレギュラーシーズンのスケジュールの中にミックスさせて組み込んで行こうという案だ。 2005年からスタートした交流戦は、最初の2年間は36試合制を導入したが、1か月半の期間が長い、成績を反映するなら、全試合数における交流戦の割合が高すぎる、などの様々な意見が出て、2007年から現行の2試合の24試合制となった。 そこで生まれた一番の問題は日程である。2試合制に加えて、交流戦での優勝チームを決めるため、雨天中止の場合の予備日を設けてある。気候的に最良で“かきいれ時”であるはずの5月に移動日などで日程がスカスカになってビジネスチャンスを逃しているのだ。 また2試合制だと、1勝1敗のケースが増え、「貯金もできないカードでは試合をやった意味がない」というように現場にモチベーションの問題が起きている。それらの問題点を解決するために、3連戦、3試合という数字が浮かんでくるわけだが、ホーム&アウエーで隔年開催の18試合制度では公平性が失われる。 そこで折衷案というわけではないが、改正するのならば、まずは間延びしないような日程の短縮案しかないのではないか。交流戦前後の中断期間を短縮した上で、4連戦、もしくは6連戦も組み入れていく。 「それでは土曜日にデーゲームが入れられなくなる」という反対意見があるようだが、そこは細かくスケジュール調整をするなり、最悪、薄暮スタートのゲームにするなどの工夫をすればいい。またメジャーのインターリーグではレギュラーシーズンに交流戦を組み込むスタイルがファンに違和感なく受け入れられているのだから、雨天中止の予備日は、レギュラーシーズンに回せばどうだろうか。その試合に対するファンの反応が面白ければ、さらなるスケジュールの見直し案のヒントになるのかもしれない。 その場合、交流戦期間中に優勝チームを決定できないというケースも出てくるだろう。冠スポンサーにすれば、受け入れを躊躇する案かもしれないが、組織は、それに代わるスポンサーメリットを考えて提案するべきだ。 個人的には交流戦は面白いと思う。縮小案ではない改正案を議論してもらいたい。 (文責・本郷陽一/論スポ)