レッドブルF1更迭か、あるいは勇退か……崖っぷちペレスに迫られる”決断”
セルジオ・ペレスのF1キャリアが、今シーズン限りで幕を閉じることを示唆する要素がたくさんある。カタールGPが行なわれた日曜日の夕方、レッドブルの代表であるクリスチャン・ホーナーとアドバイザーのヘルムート・マルコの話では、少なくとも彼らだけで決断を下せるのであれば、決定したも同然であるような口ぶりだった。 【ランキング】ペレス大苦戦……フェルスタッペンに大差つけられる:F1ドライバーズランキング(2024年) 「アブダビでチェッカーフラッグが振られるまで、我々は彼を全面的にサポートする。その後、彼が何を決断しようとも、最終的には彼が決めることだ」とホーナー代表はSkyのインタビューで語っていた。 「彼は十分な年齢だし、自分で結論を出すのに十分な賢さを持っている。でも、まだ1レース残っている。アブダビを無事に終えて、それから自分たちの立ち位置を確認しよう」 「チェコ(ペレス)は我々にとって偉大なドライバーだった。彼は2022年と2023年のコンストラクターズ選手権、そして2021年のマックス(フェルスタッペン)のドライバーズタイトル獲得に貢献してくれた。彼は偉大な男だ。しかし、彼が置かれている状況は良いものではないし、彼はこのビジネスにおけるプレッシャーを知っている」 まるでペレスが自ら退任することを望んでいるかのようなコメントだ。当然これについてはさらなる質問が飛び交ったわけだが、ホーナー代表はそれを「今はアブダビを終えよう」と言ってエレガントに交わした。
■自分自身で決断を下さねばならないペレス
ペレス自身が何らかの決断を下さなければいけないという事実は新しいモノだ。ではもし、ペレスが2026年まで契約を結んでいると主張し、絶対にシートを譲らないと主張するならば、レッドブルはどうするのだろうか。 日曜日のレース前、ホーナー、マルコ、ペレスが3人で会話しているところが写真に収められた。そこではすでに、レッドブルがペレスとの関係継続を望んでいないことを告げられていたのかもしれない。 ペレスが契約解除に同意し、2025年にレッドブルのマシンのコックピットに座らないことを選ぶとしたら、どれほどの報酬が必要なのだろうか? レッドブルはおそらく、数日中に提示される金銭的オファーをペレスが受け入れることを望むはずだ。そうすれば、アブダビでの最終戦では、盛大な”送別会”が行なわれることになるだろう。 もちろん、現時点ではすべてが憶測にすぎない。しかし、マルコはもはやペレスについて語ることはほとんどなく、来年誰がレッドブルのセカンドシートに座るべきかについて進んで質問に答えている。 一時有力な候補となっていたウイリアムズのルーキー、フランコ・コラピントの名前は「リストの上位にいない」とマルコは言う。そしてRBの角田裕毅やリアム・ローソンの方が可能性が高いのではないかという質問には、「そうだ」と答えた。 「アブダビの後、月曜日にミーティングがある。すべての主要人物、株主がそこにいて、そこで決定が下される」とマルコは語った。 「我々は常に、あるいはほとんどの場合、レッドブルのプログラムを通じて自分たちのドライバーを起用してきた。レッドブルの株主たちの意見から私が理解したのは、レッドブルはその方向に進むだろうということだ」 つまりペレスの後任は、角田とローソンのどちらかが選ばれるということだ。ただホーナー代表は角田について、レッドブル・レーシングにふさわしい人物だとは思っていないと言われているため、現状ではローソンが最有力候補であるように思える。 ペレスにまつわる噂に関連して、マルコはチームのコンストラクターズ選手権についても言及。レッドブルがカタールGPでタイトル獲得の権利を失ったことについて、「自分のために働いてくれている人々の支持や信念がなければ難しい」と付け加えた。 またホーナー代表も、2024年が事実上マックス・フェルスタッペンのワンマンチームとなったことで、メカニックたちが不満を抱いているという問題を認識している。なにしろ、レッドブルが今季これまでに記録した9勝はすべてフェルスタッペンによるもの。他に勝利を記録しているマクラーレン、フェラーリ、メルセデスはいずれもふたりのドライバーが優勝している。 「3位という結果は……まだ2位になる可能性も残っているが、そこには大きな差が残っている。コンストラクターズタイトルを狙う権利は失ってしまった。その順位に応じて収益が分配されるのだから、とてもフラストレーションがたまる」