太陽光パネル陰に巣穴 キツネが子育て 三重・松阪の大石町で「こんな近くまで、びっくり」
三重県松阪市大石町で、野生のキツネが太陽光発電施設の敷地内に穴を掘って子育てしている。近くに住む人たちは「昼間にキツネを見ることなんてなかった」と珍しい光景に驚いている。 キツネは、本州、四国、九州の平野から高地の森林や雑木林などに生息するホンドキツネ。人里近くや農耕地などにも姿を見せ、小動物や昆虫、果実などを食べる。早朝と夕方に活動し、人が現れるような所では夜行性になる。繁殖期は12月~2月ごろ。巣穴は出産や子育てのためにしか利用されず、沢地や林内の斜面に横穴を掘って作る。地下1~3メートル、長さ2.5~10メートルで平均四つほどの出入り口がある。 大石町では今年3月ごろに、太陽光発電施設の柵の中に作られた巣穴から顔を出す子ギツネを、近くで畑作業をしていた小津繁樹さん(76)が発見。大石公民館長の桑山秀治館長に「キツネがおるよ」と声を掛けた。 桑山館長が5月中頃、カメラでその様子を撮影。パネルに沿うように5メートル間隔で二つの巣穴が確認できるが、他にも出入り口があるとみられる。 小津さんによると、子ギツネ2匹と両親の計4匹が暮らしており、夕方や日中に子ギツネがじゃれる様子や、柵の外に出て鳥に飛び付いて捕獲する姿もあった。ただ、ここ1週間ほどは出入りする様子が見られず、子育てを終えて巣立ったとみられる。 小津さんは「こんな所におると思わんかった。こんな近くまで来ているとはびっくりした」と話し、桑山館長は「柵があるので他の動物がやってこず、安心して子育てしていたのかな。里山の環境が変わってきたと思う」と話した。