鳥取城北・東野“漢の痛み”乗り越え「最高」右前打 昨年6月紅白戦で白球直撃→緊急手術
「全国高校野球選手権・2回戦、明徳義塾7-0鳥取城北」(12日、甲子園球場) “漢(おとこ)の痛み”を乗り越えて夢舞台で快音を鳴らした。八回無死一塁で鳥取城北・東野大空内野手(3年)が右前打を記録。「最高でした!」と男らしく潔く、高校野球生活に別れを告げた。 バットを振り抜いた瞬間、“あそこ”に激痛が走った。昨年6月3日に行った紅白戦。内角球を思いっきり強振した。バットの下っ面でかすめた白球が股間に直撃。「あー、終わった」。冷や汗が額から一気に噴き出し、その場に倒れ込んだ。 立ち上がろうとしても立てない。体に力が入らない。なにをしても痛みは引かなかった。「ソフトボールくらいパンパンに腫れました」。病院に直行してすぐさま緊急手術を受けた。患部にメスを入れると、睾丸(こうがん)の片側はパックリと割れてえぐれていたという。手術後、歩行は可能になったものの約2カ月もの間、野球ができない日々が続いた。「本当にやばかった」と今でも痛みは脳裏にこびりついている。 かっこいい男になりたいと願い、好きな言葉は「漢」。復帰してからしばらくは打席に立つと恐怖心に襲われたが、「痛みにも負けずにどんな状況になっても胸を張っていたい」とトラウマを拭ってレギュラーの座をつかんだ。「いい壁を乗り越えられた。これからも絶対諦めない強い人間になりたい」と東野。漢の生きざまを貫いた高校野球人生だった。 ◇東野 大空(ひがしの・そら)2007年1月7日生まれ、17歳。京都市出身。175センチ、72キロ。右投げ右打ち。内野手。小学1年から洛西サンボーイで野球を始め、投手と遊撃手を兼任。西陵中では門真リトルシニアに所属。鳥取城北では2年秋からベンチ入り。