「答案用紙が鼻血まみれ」東大卒の芸人・石井てる美 センター試験の絶望とコンプレックスを抱えた先の就活から得た教訓
■東大には文系で入学するも…理系に転向した訳 ── 東京大学の文科三類に入学後、途中で理系工学部に転向されました。 石井さん:転向したのは、工学部社会基盤学科に新設された国際プロジェクトコース。もともと土木工学を専門とする学科でインフラ整備などを学ぶところなのですが、海外でプロジェクトを行う「国際プロジェクトコース」が新設されたんです。英語が大好きでしたし、海外に行ってフィールドリサーチができるなんておもしろそう!と思って、ノリで決めました。教授も気さくな方ばかりで、卒論の中間発表の後にそのまま飲み会が始まったりと、和気あいあいですごく楽しかったですね。
── 文系から理系への「理転」は、ハードルが高い印象があります。 石井さん:周りからは反対されました。同じ大学の彼氏には「ついていけないからやめたほうがいい」と言われ、サークルの先輩にも「ダマされてるよ」と。「なんで学校がダマすんだよ」と思いましたけど(笑)、心配してくれていたのでしょうね。 大学ではビートルズのコピーバンドのサークル活動にも打ち込んでいました。文系から理系に転向したことで、「やっぱりダメだった」と周囲から言われるのがイヤで、「脱落してはいけない」気持ちが強く、勉強は一生懸命やっていましたね。
■就活前に抱いていたコンプレックス ── 卒業後は外資系のコンサルタントファーム「マッキンゼー・アンド・カンパニー」に入社されました。そもそもコンサルの仕事に興味をもったきっかけはなんだったのでしょう? 石井さん:就活が始まる前は「自分は文系、理系、どちらの専門家でもない」というコンプレックスがあったんです。 ── 大学院の修士課程までいかれているので、「どちらもできる」という考え方もあると思うのですが、ご自身としては中途半端だと感じていたのでしょうか?
石井さん:そうでしたね。法律や経済に詳しいわけでもないし、橋の構造計算ができるわけでもない。中途半端な私に何ができるんだろうと思っていたんです。コンサルの仕事に興味をもったのは、インターンシップの経験がきっかけでした。大学院時代に、インターンシップでフィリピンに行ったのですが、リサーチのために仮説を立て、それを検証するためにインタビューをしたり、自分の足で情報を稼いで整理したりすることがすごくおもしろかったんですね。「もしかしてコンサルタントの仕事ってこういうことなのかも」と思って、興味がわいたんです。文系でも理系でもないと思っていた経歴も、幅広い分野に対応できるという強みとしてアピールできるようになりました。