中国株下落を煽った「雪球」デリバティブ、再び活発に-クーポン40%も
(ブルームバーグ): 中国の証券会社は、過去最高に近いリターン獲得の可能性を示してデリバティブ(金融派生商品)市場に投資家を呼び戻そうとしている。「スノーボール(雪球)」と呼ばれるこのデリバティブは、今年の早い時期に中国本土株の下げを一段と深刻化させる要因となった。
凌瓴科技の集計データによれば、3月に発行された2つの雪球商品はクーポンレート(表面利率)が40%超と、少なくとも2022年以降見られなかった水準だった。同社は発行体の名前は明らかにしていない。
同データによると、3月には証券会社5社が中国本土株の指数、CSI1000指数に連動した商品の利回りを前月から引き上げた。中信建投証券を含む他6社も同指数に連動した雪球を市場に投入。凌瓴科技が算出する平均価格の指標が過去最高を更新した。
今年に入って本土株が大幅に下落した際、雪球商品の大半はクーポンを全て失う、あるいは損失を被る可能性のある水準にまで下落した。しかし、ここへきて証券会社は雪球の投資家を再び引き付けようとしている。
凌瓴科技の共同創業者、劉福宸氏は「価格競争が始まった」と指摘。「現在の環境では明らかに、こんなに高いクーポンレートを賄うことはできない。こうした商品を発行し続けるなら、証券会社は利益率の面で極めて大きな圧力を受けることになる」と述べた。
ここ最近のクーポンレートは10-20%が一般的だった。
UBSセキュリティーズの推計によると、雪球の発行残高は昨年11月時点で3300億元(現在の為替レートで約7兆500億円)。このエキゾチック商品は、連動する株価指数があらかじめ定められたレンジ内にとどまる限り、債券のような安定したクーポンを投資家が得られるようになっている。
一方、指数がレンジの上限を超えた場合は「ノックアウト」条項が発動されて自動的に決済(早期償還)される。レンジの下限を割り込むと「ノックイン」となり、償還前に指数がノックアウト水準に回復しない場合はクーポンを得られない上に、元手も一部失う可能性がある。