オコエに牽制6度。それでもプロ初盗塁に成功!
サヨナラのランナーとしてセカンドに進んだが、岡島が三振、一塁が空いたことで、続く銀次は歩かされた。捕手2人制を採用している楽天の次打者は代打の送りようがない捕手の伊志嶺だったから当然の作戦か。 しかも、万全を期して左の森福をぶつけられ、オコエはサヨナラのホームを踏むことができなかった。 延長12回まで突入して決着のつかなかったゲームの最後のバッターもオコエだった。 ソフトバンクの守護神、サファテの初球の152キロのストレートを狙ったが、打球は内野にポーンと上がっただけ。「ボールがホップしてきました。ああいうボールへの対応もしていかなくちゃいけない」。オコエは悔しそうだった。 だが、昨季、防御率0点台のバンデンハークから2点差を追いついた8回に、オコエは代走で出場機会を得た。オコエが得点者になれたわけではなかったが、梨田監督は「やっぱりオコエは何かをもっているな」と、そのムードメーカーぶりを称えた。「代わった守備位置に打球が飛ぶ」という野球界のジンクスがあるが、そのままセンターの守備に入った9回には、続けざまにセンターへフライが飛び、その度に球場が大歓声に包まれ、異様な盛り上がりを見せた。 オコエは、「守備でも喜んでもらえるのはうれしいけれど、勝利に貢献して喜んでもらえるようになりたい」という。オコエは確かに球場の空気を一変させるオーラを持っている。9勝0敗のバンデンハークを追い詰めた展開は、限りなく勝ちに等しいドローだった。 今後、オコエの足は、勝負どころでセカンドを奪い、相手バッテリーにプレッシャーを与えるためのチームの新しいオプションになるのかもしれない。巨人の鈴木のようなスペシャリトの立場から出場機会を広げていくのもいいだろう。 「出場機会がそうはないんで、与えられた場面でできるかぎりのアピールをしていきたいんです。勉強しながらチームの勝利に貢献することでアピールをしていければ」 18歳のスーパールーキーのひたむきさが、チームに大きな刺激を与えている。