「法律にのっとってさまざまな選択肢がある」兵庫県斎藤知事が意地でも辞任しない”3つの拠り所”
「僕の時代に財政課長で来てもらって、吉村さんとは2年一緒に働いて、役所の中のお金の使い方のおかしいところは全部わかってますから、斎藤さんを兵庫県に、県庁に送り込んで、内向きのお金の使い方を改めさせましょう」 吉村氏の前に大阪府知事を務めた松井氏はこう述べて、維新と斎藤知事との“上下関係”を示唆している。斎藤知事もその期待に応えるべく、当選後は県立大学・大学院の授業料無償化など「維新流の政策」を忠実に実行しようとした。
さらには維新との関係が悪かった井戸前知事の痕跡を消し去るべく「新県政推進室」を設置。井戸前知事が計画した「新庁舎の建て替え」を取りやめ、「4割出勤」などを実施したが、職員の評価は芳しくなかった。 こうしたやり方が、多くの県庁職員の心を斎藤知事から離してしまったに違いない。そしてそうした不満の鬱積こそが、騒動のきっかけとなった告発文書問題を生む土壌となったのではなかったか。 だからこそ斎藤知事は、斎藤県政に関わる7つの疑惑を記した告発文書を入手した直後に片山安孝副知事(当時)らに「徹底的に調査するように」と命令を下し、片山氏が文書作成者である元西播磨県民局長のパソコンから「革命」「クーデター」などの文言を見つけ、「選挙で選ばれた知事を排除しようとしている」と判断したのではなかったか。
■「まるで独裁者が粛清するかのような陰惨な構図」 その一連の様子を9月5日の百条委員会で奥山俊宏上智大学教授が「まるで独裁者が粛清するかのような陰惨な構図」と評した。独裁者は自分を客観視できないが、斎藤知事は6日の百条委員会で、「道義的責任とは何か、私はわからない」と言い切った。 もっとも当初は維新という“味方”がいて、百条委員会の開催に反対してくれたが、現在は86人の県議全員が辞職を求めている。それでも斎藤知事はその地位にい続けようとしているのは、不信任案が可決された場合に「解散」という対抗手段があるためだ。