東電再建のカギ? なぜ柏崎刈羽原発が注目されるのか
原子炉直下の断層で調査
東北地方太平洋沖地震によって原発の安全性が問題視され、柏崎刈羽原発は再びすべての原子炉が運転停止となりました。福島第一原発の放射能漏れ事故を受け、活断層の有無に対する調査がより注目されています。 2011年当時、「発電用原子炉施設に関する耐震設計指針」の中で「原則として重要施設が直上にあることを禁じる」とされた活断層の基準は、約12万~13万年前以降。しかし、その後の調査・研究結果から、活断層の活動年代の目安は40万年前以降にさかのぼって評価すべきという声が上がりました。そのため、昨年7月に施行された新基準では、耐震設計上考慮する活断層は約12~13万年前以降の活動が否定できないものとしつつ、必要な場合は約40万年前以降まで遡って活動性を評価することになったのです。 今回、再稼働が焦点となる柏崎刈羽原発の原子炉直下の断層について、東電側は「20万年前以降は動いておらず、活断層ではない」と主張していますが、原子力規制委員会側は現状ではデータ不十分と判断。2月上旬にも活断層の調査を実施することが決定しました。調査は数か月かかると見込まれており、東電が目指す7月の再稼働は困難な見通しとなっています。
都知事選の結果が影響も
一方、2月9日に投開票が行われる東京都知事選でも、柏崎刈羽原発の再稼働の問題が(その是非はともかく)争点の一つとして浮上しています。仮に脱原発派の知事が誕生すれば、原発立地自治体や周辺の首長と連携し、運転再開に大きな政治的な影響を及ぼすとの見方も。 さらに、泉田裕彦新潟県知事は、原発再稼働が前提の新計画について「福島の事故検証が先。おかしな計画だ」と批判しました。東電は柏崎刈羽原発の再稼働を前提とした経営再建計画を立てましたが、出足からすんなりとはいかない状況に陥っています。 世界最大の電力発電量、原発史上初の地震被災。柏崎刈羽原発は、東電の命運を握る特別な原発です。活断層の調査はもちろん、政治的な判断を含め、再稼働をめぐる議論から目が離せません。 (南澤悠佳/ノオト)