東電再建のカギ? なぜ柏崎刈羽原発が注目されるのか
2014年1月15日、政府は東京電力の新しい総合特別事業計画(再建計画)を承認しました。これは、コストカットや人員削減など、東電が経営を再建するために取り組むべき内容を示したものです。なかでも注目されているのが、新潟県にある柏崎刈羽(かしわざきかりわ)原発の再稼働。新計画では同原発が抱える7基のうち4基の再稼働を柱とし、うち2基を今年度中(7号基を7月、6号基を8月)に運転を再開する方針で進めています。計画では、原発が稼働すれば、東電の経営を圧迫している火力発電の燃料費を削減でき、1基の稼働で年間1000億円規模の黒字を確保できるとしています。 【図表】原発の新規制基準のポイント 東電再建の要とされる柏崎刈羽原発。数ある原発の中で、なぜ柏崎刈羽原発が注目されるのか、改めておさらいしてみましょう。
世界最大の発電量誇る
新潟県柏崎市と刈羽村にまたがる柏崎刈羽原発。敷地面積は約420万平方メートルで、1号機から7号機まで計7基の原子炉を保持しています。発電総出力は821.2万キロワット。1カ所の発電所としては世界最大の発電量を誇ります。同じ東電管轄内の福島第二原発の発電総出力が440万キロワット、そして全6基の廃炉が決まっている福島第一原発が469.6万キロワットだったことからも、その規模の大きさがうかがえます。
新潟中越沖地震で被災し運転停止
2011年3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で、福島第一原発と第二原発が被災したのは記憶に新しいところ。しかし、実は世界で初めて地震で被災したのは柏崎刈羽原発でした。 2007年7月16日、新潟県上中越沖を震源とする地震が発生。マグニチュードは6.8、最大震度は柏崎市や刈羽村で6強の揺れを観測しました。柏崎刈羽原発では当時、定期点検で3基が停止中で、稼働していた残りの4基すべての原子炉が緊急停止。この地震により、微量の放射能性物質を含む水の漏出や施設の破損、火災発生などが発生しました。 原発史上初の地震被災だったため、IAEA(国際原子力機関)の専門家調査団は、柏崎刈羽原発の被災状況調査のため来日。調査報告書では、「プラントには重大な損傷はなく、安全に関係する機器・設備に損傷は認められなかった。安全に関係する機器の健全性は予想以上に良好であった」とする一方、「最大発生可能地震を想定する必要がある」と指摘しています。 その後も、東電は設備の点検や安全性の確認、耐震強化工事などを実施しました。そして、2009年12月に7号機が2年ぶりに運転を再開し、その後、6号基、1号基、5号基が再稼働。しかし、敷地内に活断層があるとの可能性が指摘・問題視されるなど、運転再開を危惧する声もありました。