【闘病】ALSで亡くなった父に続き自分も発症… 「家族性ALS」を患って始まった壮大なチャレンジ
20歳のときに父をALS(筋萎縮性側索硬化症)で亡くし、自身も33歳で同じ病気を発症した青木渉さん。ALSのなかでもまれな、遺伝が関係して発生する「家族性ALS」と診断され、現在、日本では未承認のSOD1-ALSの新薬「トフェルセン」を使用した継続的な治療と日本での早期承認を願い、積極的にメディアにも出演。「ALSの治療」だけでなく未承認新薬治療への挑戦を通して、日本の医療が抱える大きな問題である「ドラッグラグ」に対しても、同時にチャレンジ(発信活動)を続けている青木さんに、これまでの話を聞きました。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年11月取材。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
「もしかして、自分も父と同じ病気かも」
編集部: 症状が出始めたのはいつですか? 青木さん: 2021年10月ごろです。小走りをしたとき足が前に出てこないという違和感を覚えました。 編集部: 突然、足が動かなくなったのですか? 青木さん: はい。コロナ禍だったので、最初は運動不足かなと思ったんです。でも、コロナ前まではサッカーを続けていたので、そんなにすぐに運動不足になるわけはないだろうと思いました。 編集部: そのあとは? 青木さん: 階段を上り下りするときなどに、「ちょっとおかしいな」と思うことが続きました。いろいろ試してみて、足の指に力を乗せられず、爪先立ちができなくなっているということがわかりました。 編集部: どんな病気を疑いましたか? 青木さん: 調べてみると、原因としては二つ考えられることがわかりました。一つは椎間板ヘルニア、もう一つは神経の病気です。それで早速、近所の整形外科で検査をしてもらったのですが、椎間板ヘルニアを示すような異常はなし。紹介状をもらい、近くの脳神経内科を受診しました。 編集部: そこで異常が見つかったのですね。 青木さん: すぐに精密検査を受けた方がいいと言われ、都内の大学病院に紹介状を書いてもらいました。その後、検査入院をしてALSの確定診断がついたのは2022年6月です。 編集部: 発覚した時の心境はどうでしたか? 青木さん: 実は私が20歳のとき、父がALSで亡くなっていたので、足が次第に動かしにくくなってきた頃から、「もしかして自分も……」という不安がありました。だから確定診断が出たときは、それほどショックはありませんでした。 編集部: お父さんも同じ病気で亡くなられていたのですね。 青木さん: はい、父も同じように足の違和感から症状が始まったこともあり、大学病院を受診した頃から、「自分も父と同じ病気ではないか」という考えが強くなっていきました。確定診断が出て2か月後、遺伝子検査で家族性ALSと診断されました。 編集部: 当時、お仕事はされていたのですか? 青木さん: はい、大学卒業後は飲食店に勤めていて、将来は自分の店を持ちたいと頑張っていたのですが、症状が進むにつれて店に立つのは難しくなり、6月以降は内勤に変えてもらいました。その後2023年1月には仕事を断念、今は傷病手当金の支給を受けています。