スカウトが熱視線を送るセンバツ注目の好投手10人 大阪桐蔭の怪物、栃木の怪童、サラブレッド左腕など多士済々
高尾響(広陵3年/172センチ・73キロ/右投右打) マウンドの支配者になれる男。歴史と伝統のある広陵で1年春に背番号1を背負い、その佇まいにはエースの風格が漂う。上背はないものの最速147キロを計測する速球と、スライダーやスプリットなどの変化球を使って確実にゲームメイクできる。そして数々の修羅場をくぐり抜けてきた投手特有の、内面的なたくましさこそ最大の武器。昨秋の明治神宮大会では速球がカット質になるなど本調子ではなかったが、今春は集大成となる投球を見せたいところ。初戦は大会4日目、辻井翔大ら好投手を擁する高知(高知)との熾烈な投手戦が予想される。
吉岡暖(阿南光3年/182センチ・78キロ/右投右打) 四国を代表する実戦派右腕。最速146キロの触れ込みながら、昨秋に光ったのは変化球の精度。スライダー、カーブ、フォークを駆使してゲームメイクし、四国大会準優勝に導いた。折り目正しい投球フォームで安定感があり、自滅するイメージが湧かない。大会2日目に大会屈指の強打者であるモイセエフ・ニキータを擁する豊川(愛知)と対戦。モイセエフの膝元に変化球を投げ込めるか、またひと冬越えてストレートの球威がどれくらい増しているか。名をあげる大きなチャンスだ。
佐藤翔斗(東海大福岡3年/187センチ・88キロ/右投右打) 恵まれた肉体に高い資質が宿る大型右腕。昨秋は公式戦9試合、68回1/3を投げきり、大黒柱として激戦の福岡大会優勝、九州大会ベスト4に牽引した。昨秋時点でストレートの最速は142キロと驚く数字ではないものの、あくまでも成長過程ととらえたい。体の芯に力がついてくれば、大化けする可能性は十分にある。カーブ、スライダー、チェンジアップなど変化球を投げ分ける投球センスも光る。大会4日目に組まれた宇治山田商(三重)との初戦で勢いに乗れるか。
佐藤龍月(健大高崎2年/173センチ・70キロ/左投左打) 新2年生とは思えないマウンドさばきを見せる実戦派左腕。東京城南ボーイズに在籍した中学時代は侍ジャパンU-15代表に選ばれ、鳴り物入りで健大高崎へ進学した。最速146キロのキレのあるストレート、度胸満点のメンタリティ、シルエットと投球フォームは前田悠伍(ソフトバンク1位)を彷彿とさせる。同じく新2年生にして最速147キロをマークする石垣元気との左右二枚看板で、鮮烈な甲子園デビューを飾れるか。初戦は大会2日目に学法石川(福島)と対戦する。
菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro