スパーズファンとJリーグファンを繋ぐ旗振り役に!伊沢拓司と考えるJWCの意義【来日記念インタビュー後編】
サポーターがみんなで奏でるチャントを耳で聞いてほしい
――JWCにはホスピタリティチケットという、専用の個室で観戦できたり、ウォーミングアップを見学できたり、ビュッフェを楽しめたりする特別なチケットが用意されています。サポーターの目線から、こういう特典があったら買いたくなるという要望やアイデアはありますか? 「やっぱり選手たちと触れ合えるというのはポイントになってきますよね。何かスペシャルな記念品がもらえるのも嬉しい。僕は家にホワイトハートレーン(旧ホームスタジアム)のベンチを飾っているのですが、 例えば選手のレガースとか、その日にしか使わなかったようなものが手に入ったり。もちろん写真でも全然いいですけどね。(クラブOBの)レドリー・キングやオジー・アルディレスと写真が撮れるだけでも十分嬉しいので。 でも僕のファン感覚でいくと、シンプルにスタンドで応援したいんですよね。今回のチケットもスタンドで、ゴール裏で買っているんです。ファンの仲間と一緒に声を出したいという気持ちがすごくあるので。だからもしかしたらホスピタリティチケットの特典の一つとして、試合中はスタンドの席にも移動できる、というのが可能であるといいのかもしれない。今はグッズを買うことでしかクラブに“課金”できていないから、せめて今回はチケットをいっぱい買って知り合いのスパーズファンとかサッカーファンを全員呼び寄せました。僕みたいにクラブへと課金をしたいサポーターは少なくないはず。一方で、 サポーターの中には一定数、スタンドで応援するのが魅力だと思っている人がいるんですよね。となると、ホスピタリティチケットを通して課金するのはやぶさかではないけど、スタンドには行きたいという層がいる。 2つチケットを買えないから、1つだけスタンドで買ったという人が、たぶん僕以外にもいるはずなんです。 ですので、試合中は応援の熱気に入れるみたいなことはポイントになるのかもしれません」 ――興味深い視点です。ちなみに、昨年に続き今年もJWCではゴール裏を含めて小中高校生価格が設定されています。夏休みの少年少女たちが観戦しやすい価格でチケットが発売されていることには意義がありますね。 「それはめちゃくちゃあると思います。僕自身、レアル・マドリ―を見た東京ドームの興奮がいまだ脳裏に焼きついていますから。中高生になるとプレーの質もよくわかるでしょうし。でも最近は小学生のレベルもすごいですよね。僕の知り合いも、小6の息子のサッカーを見るのが一番楽しいって。吸収が早いし、サッカーIQが高いから、小学校のサッカーが自分たちの時代とは別物だと言っていました。そうなると彼らに世界トップクラスの刺激を与えるというのは、僕らの頃以上に意味があることだと思うんですよ。 なので、そこにプラスアルファする要素があるとしたら、試合前にちょっとティーチングする時間を設けるとか。トッテナム戦に小中高生が来るのであれば、もちろん僕がやっていいのかって話はありますけど、30分でもスパーズサッカー教室をやりたいですよね。他には、欲を言えば国立競技場は小学生からするとピッチが遠いので、中継ビジョンが手元にあったりすると見やすいのかなと。フットボールを応援する熱狂を耳と肌で感じつつ、試合自体は俯瞰でも見られる。当然お金の面でハードルはあると思いますが、小学生にとっては遠くから見るピッチって難しいし、普段から応援しているチームじゃないから余計に集中が難しい……となったときに少し見やすい工夫をしてあげられると、よりファンをつかめるのではないかなって」 ――試合中継に関しては以前「これからの時代のサッカーをどう伝えていくか」というテーマで戸田和幸さんと対談をしていただきました。JWCはドコモの映像配信メディア「Lemino」で無料配信されますが、日本のサッカーファンにより興味を持ってもらうためにはどのように伝えることが重要だと思いますか? 「やっぱり選手のすごさですよね。ここがすごいって話はいっぱいしてほしいなと思います。トッテナムの選手はこういうところが強みで、それに対して日本の選手がしっかり戦えているという部分を伝えてあげる。ファン・デ・フェンと競り合って、そのガタいで負けてない武藤(嘉紀)選手がすごいみたいな話ができるわけで、どこがどうすごいんだと教えてあげることが、シンプルですけどとても大事なのではないかと。システム論になるとちょっと難しいですから、まずは選手個人のすごさにフォーカスしていただきたいですね。 加えてトッテナムというチームに関して言えば、我われは声援がすごいチームなんですよ。プレミアリーグ中継をテレビで見ていても特にそうなのですが、アウェイゲームなのにめちゃくちゃウチの声が聞こえてくるんです。ファンダムがすごく熱くて、今年は日本のスパーズサポーターがとにかく大勢国立に来る。SNSで見ている感じでは、一生に一度だからここで集まろうぜ感がすごいわけですよ。そんなサポーターがみんなで奏でるチャントを耳で聞いてほしい。海外のクラブが来て、こんなにサポーターの応援が聞こえるんだっていうのを日本のみなさんに感じてほしいので、もう目一杯、僕も声を出したいと思います!」