カッパの髪型を強制、逃げると暴行…10年に及ぶ「支配」の果てに男は包丁を握った 殺人罪で懲役10年
■記者の傍聴記
内田悠雅(警察・司法担当): この裁判では小林被告が受け続けた仕打ちによって、金銭的・精神的に追い詰められていった様子が明らかにされた。被害者は被告を支配した一方で、被害者の妻からは「良き父」としての面が語られた。裁判中、証言台に立った被害者の妻は「夫は娘を可愛がり大切にしていた。休みの日は毎週どこかに連れて行ってくれた」と言葉を詰まらせながら述べたあと「夫と娘の人生を奪われた。(被告に)死刑を望む」と厳しい処罰感情を見せていた。突然、家族を奪われた苦しみは計り知れず、裁判所も判決で理解を示している。 裁判の焦点となったのが量刑だ。裁判所は検察の求刑よりも5年短い懲役10年の判決を下した。「『殺人』は許されざる行為」なのは前提としたうえで、被告の置かれた状況をどう量刑に反映するか。市民から選ばれた裁判員たちにとって量刑を導き出すのは相当な難しさがあったと推察される。