〈鹿児島県警・情報漏えい〉「警察そのものがよくない」“第一の漏洩”「医師会職員の強制性交事件」の不審捜査で逮捕された元巡査長は被害女性側に謝罪していた
「刑事部長というより警察そのものがよくない」
藤井被告は、問題の鹿児島中央署長から県警本部刑事部長に栄転した直後だったX氏の名を挙げ「Xの考えがあって、いろんなよくない指示が起きてるんだろうと思います」と口にしたという。 ただCさんは「そのとき藤井さんは、Xさんというよりも警察そのものがよくない、という話をしていた記憶があります」と振り返る。 この面会があった翌6月、県警は告訴から1年半ぶりにA氏を書類送検したのだが、その3日後に藤井被告はA氏の事件を含む『告訴・告発事件処理簿一覧表』を持ち出しハンターに提供している。 処理簿一覧表には鹿児島中央署長時代のX氏が主導しA氏の立件回避を図るかのような指示があったとの内容もあり、ハンターはこの疑惑の追及を4か月後の23年10月から本格化させる。 「書類送検が行われたのに藤井被告が書類をハンターに渡したのは、不審な捜査指揮を明るみに出し、地検にまともな処分を促す狙いがあったのかもしれません。 しかしハンターの報道を他のメディアは後追いせず、鹿児島地検はその年の12月、A氏を嫌疑不十分で不起訴処分にしました。Bさんは不起訴は不当だとして検察審査会に審査を申し立て、A氏に相手に損害賠償請求訴訟を起こし独自に責任追及をしてきました」(社会部記者) 藤井被告は複数のルートで資料を出したとみられる。県警は今年3月になって個人情報の流出を発表。ハンター以外のウェブメディアが、漏洩した多数の資料の写真を掲載したのに押されて捜査を50人態勢に強化し、藤井被告の逮捕とハンターへの捜索に至る。
昇進していない巡査長が「評価を高めたかった」に違和感
「藤井被告は公安畑の警察官で、県警は藤井被告が『情報を漏らす見返りに捜査にかかわる別の情報を得ようとした。組織内で自分の評価を高めようと思った』と供述したと説明してきました。しかしこれには違和感があります」と地元記者は話す。 「理由は藤井被告の巡査長という階級が警察の正式なものではなく、まったく昇進しない警察官の“名誉階級”のようなものだからです。 実際には最下位の「巡査」と同じ階級です。公安というセンシティブな部署に配属される藤井被告なら昇任試験を受け階級を上げようと思えばできたはずですが、49歳まで事実上一階級も昇進しておらず、出世に関心がなかったとしか思えません。そんな人が評価を欲するでしょうか」(地元記者) 実は鹿児島県警は、藤井被告を逮捕した4月8日に、Cさんに対する捜索も行なっている。スマートフォンを押収されたCさんは複数回、参考人としての事情聴取も受けた。 「警察は私が藤井さんに漏洩をそそのかしていないか疑ったようです。結果、そうした行動も金の動きもないことが確認されています」(Cさん) さらに、藤井被告と本田容疑者の情報持ち出しが続いたことについて、Cさんは続けた。 「強制性交事件の捜査の問題に共感をしてくれた警察内部の人が、組織をよくしたい、という思いで(情報提供を)やり、それが広がって今(の本田容疑者の事件)があるんでしょう。 本田容疑者が全く同じことをやったというのは(藤井被告の)影響を受けたんだろうなと思います。『おれもやったるわ』と思ったのでしょうね」