“インクルーシブ保育”って? 障がいがある子も、ない子も“同じ仲間”で学ぶ『every.特集』
年齢や特性、障がいの有無などにかかわらず、一緒に学び合う「インクルーシブ保育」。2024年4月に東京都で初となる「認可保育園」と「児童発達支援センター」がひとつになった“一体型”施設が開園。お互いを認めて、支え合う保育の現場を取材しました。 【動画を見る】障がいのある子もない子も共に同じ仲間として学び合うインクルーシブ保育『every.特集』
■障がいがある子も、ない子も“同じ仲間”
東京都・東大和市にある保育施設。午前8時半。子どもたちはきょうも元気です。 ぞうきんがけをしたり、園庭で飼っているヤギやニワトリのお世話をしたり、畑で育てている野菜の水やりをする子も。そんな中、ある男の子が畑に近づいてきました。 脳性まひの障がいがある、そうまくん(3)です。友だちが水やりをする様子をみて、「自分もやりたい」と、畑で一緒に水やりです。 障がいがある子も、障がいがない子も分け隔てることなく、一緒に過ごす「インクルーシブ保育」。この施設は、「認可保育園」の東大和どろんこ保育園と、発達の遅れや障がいのある子を支援する「児童発達支援センター」の子ども発達支援センターつむぎがひとつになった、東京都で初めての“一体型”施設です。2024年4月に開園しました。現在、2つの施設の子ども85人ほどが通っています。 のびのびと遊ぶ子どもたち。そうまくんは段ボールのお家に入りたいようですが…。 園児「やだ!入っちゃだめ」 先生「そうなの?」 園児「そうまくんはいいよ」 先生「やったーいいって」 園児「先生はだめでーす。そうまくんはいいです」 そうまくんのお母さんは、様々な子どもが通うこの園に入って以来、息子の変化を感じています。 そうまくんの母親 「前(通っていた)療育園とか、しゃべるのが難しい子も多いので、態度でのコミュニケーションはすごくあると思うんですけど、ここに来るとしゃべれる子もたくさんいるので、そうまに話しかけることによって、そうまも物がわかってくる。そういったところが成長した」
■施設に“隔てる壁なし”様々な違いをこえて学び合う
現在、国は“インクルーシブ保育”を推進していこうとしています。2023年4月の規制改革では、これまでそれぞれに分けられていた保育室の共有や、職員の交流が可能になりました。 そのため、この施設のなかをみてみると、2つの施設を隔てる壁はありません。さらに、両施設のスタッフがどちらの子どもたちのことも一緒に見守ります。 開園しておよそ半年。子どもたちの様子に、宮澤叙栄施設長は「障がいがあるとか、ないとかというのを、子どもは決めない。同じ仲間として受け止めてくれている。よかれと思って自分たちが障がい者扱いしている部分がたくさんあるんじゃないかなと、子どもたちの姿を見ていると思います」と話す。 この施設では、障がいのあるなしだけでなく、異なる年齢の子どもたちも一緒に過ごします。年齢や特性、発達の違いをこえて、様々な子がまざり合うことでお互い学び合うことができるといいます。 でも、時にはぶつかり合うことも…。そんなとき、先生たちは無理に仲直りさせようとはしません。「お話しにいこう。落ち着いたらでいいから。言葉で伝えないとわからない」と、子どもたちが自分の気持ちを伝えられるように寄り添います。 施設長・宮澤叙栄さん 「ぶつかり合うって、すごく大事なことだと思っています。自分の思い通りにいかないこととか、うまくいかなくて自分のなかで嫌だなと思う気持ちが出てきたり、そういう気持ちをコントロールして次に一歩踏み出していく。障がいがあろうがなかろうが、気持ちをコントロールする力は大事」
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