「やりがいだけじゃ生きていけない…」年齢引き下げの〝キャリア官僚〟試験 受験した大学生の本音
心配なのはやっぱり…給与や待遇
官僚の人気が下がっているのは、それだけ民間企業での就職の選択肢が広がった裏返しでもあります。外資系を含め、民間企業も選択肢に入っている人にとって気になるのは、やはり給与などの待遇のようです。 「官僚になりたい気持ちはありますが、民間から内定が出たらどうするかは決めていないです。企業の待遇を調べていて、初任給などを比較すると『やりがいだけじゃ生きていけないしなあ……』と思って悩んでしまいますね」(国立大・女性) 官僚を第一志望にしている学生はどんなモチベーションなのでしょうか。 「ちょっと堅苦しい感じになってしまいますが『人が一人では乗り越え難い大きな困難に対して、構造からアプローチできること』が国家公務員の特徴だと思います。私は日本を『誰一人取り残さない国』にしたいと本気で思っています」(私立大・女性) 「やりがいです。ただ、現在の官僚の姿に憧れているわけではないことは強調したいです。働いている人たちは尊敬していますが、仕事の環境については改善の余地がたくさんあると思います。仕事内容には憧れがあるので、自分たちの代で変えていきたいと思っています」(国立大・男性) 「父が官僚で、官僚が激務であることはよく知っています。世間でのイメージが悪いため、父は自分の職業を名乗ることはほとんどないそうです。給料が上がればいいなとは思っていますが、それ以上に世間からの悪いイメージも志願者不足の原因なのかもしれません」(国立大・男性)
人事院のアンケートにも本音が
今回の年齢引き下げの効果もあってか、総合職の「教養区分」の合格者は大幅に増加。前年度は255人だったのが2023年度は423人になりました。 人事院は、2023年4月に採用された官僚699人を対象に行ったアンケートを実施しています。 その中で、「公務の魅力を高める」ための取り組みとして8割が「給与水準の引き上げ」をあげています(複数回答)。さらに7割は「働き方改革の推進(超過勤務・深夜勤務の縮減)」をあげています。 また、国家公務員採用総合職試験以外で内定を受けた民間企業の規模は「1000人以上」が8割となっており、就職先としてのライバルに大企業があることが浮かび上がってきます。