管制強化、システム改善も 世界有数「過密」空港 国交省
世界有数の過密空港の滑走路で、航空機同士が衝突した衝撃的な事故から1年。 国土交通省は管制官の体制強化や、注意喚起システム改善などの再発防止策に取り組んでいる。 【写真特集】羽田空港で日航機炎上 海保機と衝突 羽田空港の離着陸回数は、年間47万回と国内最多で、1時間当たりでは最大90回。井桁の形に配置されたA~Dの滑走路4本を風向きによって使い分けており、高さ115.7メートルの管制塔から指示を出す業務は「職人芸」(航空関係者)とも評される。 ただ、事故では、管制官が滑走路に誤進入した海保機を見抜くことはできなかった。衝突が起きたC滑走路の担当管制官は、海保機や日航機を含め7機を注視。別の管制所でレーダーを監視していた管制官が異変に気付き、「日航機はどうなっている」と問い合わせたが、担当管制官は意図を理解できず、15秒後に事故が起きた。 羽田など繁忙7空港には「滑走路占有監視支援機能」と呼ばれるモニターが置かれ、誤進入があると滑走路の色が変わり注意喚起する仕組みがあった。しかし、滑走路横断など誤進入ではない場合も作動し、「当てにしづらい」と当時使われていなかった。 こうしたことから、国交省は繁忙7空港に、レーダー担当などとの調整を専属で行う「離着陸調整担当」を新設。滑走路担当がパイロットとの交信や航空機の監視に専念できるようにし、来年度から計52人を配置することが決まった。使われていなかったモニターは、注意音が鳴る仕様に変更。頻繁に音が鳴らないよう、空港ごとに調整したという。 ただ、現場からは「管制官はまだ足りない」との声が上がる。ある国交省幹部は「羽田は人気で、もっと飛ばしてほしいという要望もある。パイロットとコミュニケーションする機会を設けるなど、管制官が仕事しやすい環境を整えたい」と話している。