サウジアラビア戦に出場した町田（ロイター）

　【ジッダ（サウジアラビア）10日（日本時間11日＝岩田千代巳】日本（FIFAランキング16位）がサウジアラビア（同56位）を2－0で下し、過去3戦全敗だった敵地で価値ある1勝を挙げた。 　前半14分、MF鎌田大地（28＝クリスタルパレス）がジッダの日本人第1号のゴールで先制。後半に右CKから小川航基が頭で追加点を奪った。完全アウェーの中、守備でも11人が集中を切らさず、ジッダでは初の無失点に抑えた。これで3戦全勝の勝ち点9で首位をキープ。最終予選初戦から日本が3連勝するのは初。日本の強さは本物だ。 　約6万人で埋まったキング・アブドゥラー・スポーツ・シティーが静寂に包まれた。押される展開の前半14分。右サイドのMF堂安がファーで待つMF三笘へクロス。三笘がダイレクトで中に折り返し、ゴール前のMF守田が頭で落としたところを、2列目から貪欲にゴール前へ攻め上がった鎌田が左足で押し込んだ。 　サウジアラビアに0－1で過去3戦全敗を喫していた敵地ジッダ。そこで勝利に導く先制点を挙げた鎌田は「初めて日本がこのスタジアムで勝てたというのは、日本サッカーにとってもすごく大きなこと。チームとしてやりたいことができた」と喜びをかみしめた。 　鎌田にとって因縁の地でもあった。21年10月の前回最終予選のサウジアラビア戦でも先発。自身が精彩を欠いたこともあり0－1で敗れた。その後は先発から外れ、招集外となり、約8カ月間も代表から離れた。「その経験を生かしてチームとしてうまくいっている。（当時より）層が厚くなって、出た試合でいいプレーをしないとという危機感も持ちながら出来ている」。この3年の間にブンデスリーガから世界最高峰のプレミアリーグへとステップアップ。代表での屈辱をバネにし、鬼門の敵地で進化した姿を見せた。 　鎌田だけではない。試合前日、MF久保が「勝ったからといって、歴史を変えるみたいな大々的に報道をされてもプラスにはならない」とメディアに注文を付けた。海外トップリーグに所属する選手が増えた今の日本代表の競争は激しく、だれもが貪欲で意識が高い。だからこそ今の日本はチームとして強くなっている。 　最終予選の初戦から日本が3連勝するのは初となった。中国、バーレーン戦のような大量得点はなかったが、酷暑の中で先制し、したたかに守る戦いで強さを発揮。勝ち点9でC組では2位オーストラリアに勝ち点5差と引き離した。その勢いのまま、15日のオーストラリア戦（埼スタ）でさらに独走態勢に入る。