絶品カレーに世界各国の料理~プロ顔負けの味付けを簡単に
カレーだけではない。「シーズニング」シリーズは数種類のスパイスと調味料がブレンドされたもので、あれこれ用意しなくても本格的なスパイス料理が手軽に作れる。約100種類をラインナップ。「鶏肉のトマト煮」や「ローズマリーチキン」「ジャンバラヤ」「タンドリーチキン」など世界各国の料理が家庭で手軽に楽しめるとあって、大きく売り上げを伸ばしている。
ヒットを生む商品開発術~食べ歩きに試食100回
エスビーの商品は3700種類以上。中には「おでんの素」や約20種類のジャムまである。多様な商品を生み出すカギを握るのが商品企画の担当者たちだ。 マーケティング企画室の大塚潤一郎と落合桃子が向かったのは東京・千代田区のタイ料理店「メナムのほとり」神保町本店。すでに販売しているエスニックカレーのリニューアルのヒントを求めてやって来た。 エスビーの商品開発のキモがこの「食べ歩き」。食べるだけでなく、店側と交渉して厨房の中へ。そしてどんなスパイスを使っているか見せてもらい、実際に調理をしてもらいながら店の味の秘密を探っていたのだ。 「メナムのほとり」のオーナー・外ノ池祐太さんに「他のメーカーとエスビーの違い」を聞くと、「エスビーさんは厨房の中まで入ってきますね」と笑う。 「やはり厨房を見ないと、どういう材料を使っているのか、どういう風に調理していくのか一連の流れが分からないですし、見ながら感じる部分はすごく多いので」(大塚)
このあと2人は神保町のインド料理店「マンダラ」へ。1日に4、5軒食べ歩くことも。ちょっとキツそうだが、それだけでは終わらない。味を覚えているその日のうちに、試作品作りに取り組む。 食べ歩きで得た情報をヒントに、販売中のエスニックカレー「グリーンカレー」に輪切りの唐辛子を加えてみる。ひとつの商品で多い時には100回以上も試食を行うという。
こうした試作品作りは、会社だけでなく自宅で行われることもある。台所で「ハバネロ」という辛い唐辛子を使った「ラー油」を作りながら、「唐辛子類は皮よりも中のワタや種のような部分が辛味を持っている」と言うのは、エスビー食品社長・池村和也(61)だ。 「面白い食材や珍しいものがあると、こんなものができるんじゃないかというひらめきが生まれて、すぐ作りたくなる」(池村) 池村は長年商品企画に携わってきたアイデアマン。2000年代前半には低迷していたスパイス部門を立て直し、チューブ入りのお得用を企画するなど数々のヒット商品を生み出してきた。 刻んだハバネロに高温の米油を注ぎ、エキスが出るのを待って濾せば、香りと辛さたっぷりのハバネロラー油が完成した。スパイスへの飽くなき探究心。それはすべての社員が持つエスビーのDNAだという。 「失敗して失敗して、汗水垂らして作り上げた商品のほうが成功して長続きする可能性は高いかな。頑張れるところまで頑張って、合格点に達したら商品化をさせるというのが、エスビーイズムかなと思います」(池村)