再戦があるとしたら、甲子園ボウルで 「一つの成功体験」にした立命館大学、大一番前のルーティンを行わなかった関西学院大学
圧巻の65yd独走TD
RB蓑部雄望(2年、佼成学園)のランでゴール前1ydに迫ると、もともと強いOL(オフェンスライン)の5人に加え、体重129kgのDL(ディフェンスライン)塚本直人(4年、東山)まで投入した超強力ブロッカー陣に守られ、蓑部が先制のタッチダウン(TD)ラン。7-0とした。続くオフェンスで関学は第4ダウン1ydのギャンブルを高校時代は名RBでもあったLB永井秀(1年、関西学院)のランで乗り切り、エースRB伊丹翔栄(4年、追手門学院)が22ydのTDラン。キックは外れて7-6となった。 立命はすぐにやり返す。続く自陣35ydからのオフェンス最初のプレー。左のカウンタープレーで山嵜に持たせると、OL陣がナイスブロックで中央に大きな穴を開けた。山嵜は加速して左へ。インカットの脅威を与えつつ、サイドライン際で2人のタックルを外してエンドゾーンまで駆け抜けた。14-6だ。山脈のように大きな立命のOL陣はこのプレー以外にも、何度も圧倒的なブロックを見せていた。関学も食らいつく。ファイターズの伝統芸ともいえるショベルパス(QB星野→TE安藤)も繰り出し、最後は伊丹が9ydのTDラン。2点コンバージョンも伊丹が持ち込んで成功。14-14となった。 次の立命オフェンスはQB竹田が続けて走り、フィールド中央付近へ。短いパスを決めて走らせようとしたが、関学のDB岡村寛伍(啓明学院)、杉本涼(関西学院)が4年生の意地を見せるかのような鋭いタックルで阻止。第4ダウン5ydはギャンブル。ワンバックから遅れてルートに出た蓑部へのパスを決め、攻撃権を更新した。立命は攻めきれなかったが横井晃生(3年、桐蔭学園)が短いフィールドゴール(FG)を決めて17-14と勝ち越し、試合を折り返した。
後半は立命の独壇場「関学の目が輝いてない」
後半はパンサーズの独壇場だった。OL陣が関学ディフェンスをなぎ倒し、QB竹田は吹っ切れたようにパスを投げ込む。アンバランス隊形も繰り出して攻めた。ボールを支配し、後半のボール所有時間は立命の17分40秒に対し、関学は6分20秒だった。ディフェンス陣は「アニマルリッツ」と呼ばれたころを思い起こさせる暴れっぷり。関学は第4クオーター序盤にQB星野がLB大谷昂希(4年、大産大附)に強烈なヒットを食らって倒れ、その後は出場しなかった。立命は試合残り4分を切り、山嵜の10ydTDランで24-14と突き放した。そしてそのスコアのまま、2024年関西1部最後のゲームが終わった。 試合中、立命サイドでは「関学の選手の目が輝いてない」という話が出ていたという。たしかにサイドラインの雰囲気も大一番のものではなかった。関学にとって今回の立命戦のゴールは「何が何でも勝つ」ことではなかった。あくまでも甲子園ボウルで勝って日本一になることを最大のテーマとして、選手起用で無理はせず、手の内も明かさなかった。ただフィールドでは本気中の本気だった。でなければ、このスコアで収まるはずがない。甲子園での再戦はあるのか。2度目の関学は強い。2017年と19年に最初の対戦で勝ち、肝心な2戦目でひっくり返された経験のある立命は身をもって知っている。