【阪神】ドラ2今朝丸裕喜、中3での球威アップに「これはあるな」恩師・井戸監督「器用さあった」
報徳学園(兵庫)の今朝丸裕喜投手(18)が今年のドラフト2位で阪神に入団した。背番号28を背負う将来のエース候補右腕。ターニングポイントの1つである中学時代に迫った。【取材・構成=塚本光】 ◇ ◇ ◇ 今朝丸にとって中学時代は技術面でも気持ちの面でも大きな影響を受けた期間だった。昨年、今年のセンバツで2年連続準優勝に貢献し、プロからも大きな注目を集めた右腕がNPB入りを意識し始めたのもその頃だった。 「中学に入ってから意識が変わった。ストレートに自信を持ったことが一番大きかった。指導者の方も『伸びしろあるぞ』と言ってくれて、初めてプロ入りに強い気持ちを持った」 中学時代に所属した関メディベースボール学院中等部から初のNPB入り。同チームが特徴としている1人1人の「成長期に合わせた無理のない指導」がセンバツ準優勝投手にまでのぼりつめた右腕の成長や武器につながった。同学院の総監督で、近鉄などで外野手としてプレーした井戸伸年監督(47)の目にも3年間での変化が映っていた。 チームに入ってきた当初に大きく衝撃を受けたわけではなかった。「中学3年生になって、球威も上がって、これはあるなという感じはした」と振り返った。本人に高校入学前から「いけるぞ」と伝えた。球威も目を見張るものがあったが、成長中の段階。「一番大事」と語る「ストライクを取る能力」を持っていた。「体の大きさの割に器用さがあった。これから体を作って出力も上がって面白くなるな」と期待を抱いた。 身長187センチの最速151キロ右腕は中学時代に約20センチも身長を伸ばした。手足も長く、特に成長期には体の使い方で悩む人も多いが、井戸監督が評するように「器用さ」も1つの武器としている。体をいかに自然に使うかは同監督も重要視している。「一番の成長期なので身長の伸び具合によって練習もしていかないといけない。中学3年の夏以降からトレーニングを少しずつ増やして次のステージに送り出す」。大会などで試合もあったが、負担をかけずに中学時代を過ごさせた。 選手1人1人に向き合い、中学時代にコミュニケーション能力を身につけることを最も大切にして指導。チームではメンタルトレーニングも行っている。井戸監督は今朝丸と接していた中で「(気持ちの)芯が強い。ブレない。そこに強さを感じた」と明かした。実際に今夏の兵庫大会決勝で完封し、U18日本代表としてもアジア選手権で力投するなど大舞台で活躍した。 中学時代の経験を生かしプロ野球という舞台に足を踏み入れる愛弟子に「子どもたちに希望を与えるようなプレーヤーになってほしい」とエールを送った。【塚本光】 ◆井戸伸年(いど・のぶとし) 1976年(昭51)12月28日、大阪・豊中市生まれ。育英(兵庫)では甲子園に出場。徳山大(現周南公立大)、住友金属鹿島(現日本製鉄鹿島)を経て01年12月にホワイトソックスとマイナー契約。02年のドラフト9巡目で近鉄に入団。分配ドラフトでオリックスに移籍した05年限りで現役引退。引退後は関メディベースボール学院の指導者となり、現在は総監督を務める。 ◆関(かん)メディベースボール学院 井戸伸年氏が総監督も務める野球アカデミー。中等部の他に3年制の野球選手科、4年制の大学通信科、2年制の野球トレーナー科、高校卒業資格も目指せる高等学校通信科、小学部がある。本部は兵庫県西宮市甲子園七番町9の27。