経済対策で給付金・補助金のGDP浮揚効果は0.07%、全体で1.0%程度と概算:経済対策に6つの問題点
1.経済対策を22日に閣議決定へ
■2024年度補正予算の規模は13兆9,000億円程度 政府が22日に閣議決定を目指す経済対策について、報道を通じてその概要が次第に明らかになってきた。財政支出の規模は21兆9,000億円程度、このうち真水とも呼ばれる一般会計追加額、つまり2024年度補正予算の規模は13兆9,000億円程度、民間資金などを合わせた事業規模は39兆円程度となる見込みだ。 昨年11月に閣議決定された経済対策では、財政支出の規模21.8兆円、一般会計追加額13.1兆円、事業規模は37.4兆円程度だった。今年の経済対策は、昨年の水準をわずかでも上回るように策定されたとみられる。石破首相は、衆院選挙前には、昨年の13兆円を上回る規模の経済対策にする考えを示していた。 石破首相は22日の閣議で経済対策を正式に決定し、28日召集の臨時国会で、財源の裏付けとなる補正予算の成立を目指す。 経済対策は、〈1〉経済成長、〈2〉物価高の克服、〈3〉国民の安心・安全の確保、の3つが柱となる。住民税非課税世帯に1世帯あたり3万円を目安に給付する。このうち子育て世帯には子ども1人あたり2万円を加算する。 10月末で終了した電気・ガス代の補助制度は、冬季に使用量が増えることを踏まえて来年1月に再開して3月まで継続する。 年内を期限としていたガソリン補助金は、2025年3月まで延長する方向だ。補助金を2024年12月から段階的に縮小していくことも検討されている。 自民、公明両党と国民民主党は、経済対策に「年収103万円の壁」引き上げなどの文言を明記することで合意しており、それは経済対策の「基本的な考え方」に盛り込まれる。具体的な措置は、年末の税制改革の議論の中で決められる見通しだ。 防災・減災や災害復旧なども重視し、能登半島地震など自然災害で被災した社会基盤や病院などの復旧費用なども手当てされる。 また、経済対策には半導体・AI分野への公的支援策も含まれる(コラム「ラピダス支援を念頭に政府は10兆円の半導体・AI支援を決定:安易な支援がむしろ事業失敗のリスクを高め、国民負担増とならないよう慎重な対応が求められる」、2024年11月12日)。政府は2030年度までに10兆円以上の支援を行うとしているが、このうち次世代半導体の研究開発補助金などに6兆円程度、政府による出資や債務保証などの金融支援に4兆円以上が充てられるとされる。 その財源は、政府が保有するNTT株や日本たばこ産業(JT)株の配当などを収入とする財政投融資特別会計(特会)から2.2兆円程度が確保される。また、基金からの国庫返納金や、政府が売却を進める商工組合中央金庫株の売却収入などで1.6兆円程度が賄われる。そして、脱炭素社会の実現に向けた国債「グリーントランスフォーメーション(GX)経済移行債」などでも2.2兆円程度を賄うことが見込まれている。