羽生結弦さん「運命は偶然の連なり」哲学書を読んで「奇跡みたいなこと、ぜひ感じて」一問一答2
フィギュアスケート男子の冬季オリンピック(五輪)2連覇王者、プロ転向3年目の羽生結弦さんが30歳の誕生日を迎えた7日、さいたまスーパーアリーナで単独アイスショーの全国ツアー「Yuzuru Hanyu ICE STORY 3rd-Echoes of Life-TOUR」をスタートした。 【写真】パフォーマンスする羽生結弦さん 初演を無事には滑り抜いた後の、報道陣との一問一答(2)は次の通り。【木下淳】 -文字が「音」になるという発想が面白い。どのような思いから生まれたのか もともと自分は、光景、例えば色が音になっていたり、感情になったり…簡単に言うと、例えば赤っていう色に対して情熱って思う方もいらっしゃれば、それが恐怖と捉える方もいらっしゃる。そこは人それぞれの解釈なんですけど、そういうことが、より僕は音として、割と小さい頃から聞こえてきたタイプだったので。絶対音感があるとかではなくて、何となくメロディー的な感覚で聞こえてくるような感じがしていて。そういった自分の経験だったり、また、フィクションとして書く中で「この子にどういう能力を持たせようかな」っていうことを考えた時、自分がトレーニングとしてやっている言葉の抑揚であったり、意味であったり、そういったものを表現することを物語の中に入れ込んで。全体を「哲学が音として体に入ってくる」「その哲学が音楽になってプログラムができ上がる」みたいなことを、いろいろ発想を伸ばして書いていった物語です。 -公演中、思わず書き留めたくなるような言葉がたくさん出てきた。その中から1つ選んでもらって、思いを語ってもらえれば 本当に、いろいろな哲学書、生命に対してだったり自分が大学で履修していた教授の本であったり、そういったものを読み直して作ってきたんですけど。「運命は偶然の連なり」っていうことを、哲学書をいろいろ読みながら、学んでいって。本当に、すごくすごく「何で、こんな偶然がつながっていったんだろう」っていうような運命が人それぞれ、きっとあるんだろうなって思って。それが皆さんの中でいろいろ振り返った時だったり、現在進行形で運命を感じているような時に、めったに出合えないような、こんな偶然の出来事に出合えたんだっていう喜びであったり。奇跡みたいなことをぜひ感じてもらいたいな、と思ってつづった文章の1つです。 -新作の衣装も多かった。今回、特に思い入れの強い衣装は そうですね。やっぱり(公演で演じた仮想世界の主人公)Novaの衣装ですかね。今まで、映像の中と実際に演技する衣装のリンクをしたことがなかったので。正直、本当にファッションに使えるような服を氷上で着るということは、結構難しかったのは難しかったんですけど、でもやっぱりNovaという主人公の衣装には、かなり思い入れが強いものがあります。また今回、フィギュアをずっと専門にしてくださっている方も含めて、また新たにフィギュアを作ってこられなかった方も参加してくださって。本当にいろいろ、何着も何着もアレンジを繰り返して、作り上げた衣装たちもたくさんある。もちろん「リプレイ」であったり「ギフト」「プロローグ」とは、また違った毛色の「アイスストーリー」になっていますし。そういった衣装も含めてフィギュアっぽくないっていうか、エコーズじゃないと見られない衣装の布感だったりとか、そういったものも、ぜひ感じてもらいたいなって思っています。 ◆初日完走 自ら制作総指揮を執る「Yuzuru Hanyu ICE STORY」シリーズの第3弾。「ファースト・パルス」や「産声~めぐり」「ピアノコレクション」など多数の新曲から、代名詞の「バラード第1番」「SEIMEI」など全15曲を舞い、満員の約1万4000人から「30歳の生誕祭」として祝福された。来年2月まで3都市7公演で、独創的な物語をつづっていく。