「夢は戦争が終わること」 ウクライナ同級生と交流 平和学ぶ中学生/兵庫・丹波市
総合的な学習で平和について学ぶ、兵庫県丹波市の春日中学校3年の9人が、ロシアから侵攻を受けるウクライナから日本へ避難している同級生とオンラインで交流した。突如、戦争に巻き込まれ、毎日のように爆発音を耳にした恐怖体験や、平和への切なる願いなどを聞き取り、戦地に思いをはせた。 今起こっている戦争を「自分ごと」として捉えようと、ウクライナ語の通訳者として活躍する同市の河津雅人さん(38)を介し、2年前に来日した同世代のマリヤ・デレヴャンコさん(14)を紹介してもらい、交流が実現した。 オンライン交流では河津さんが通訳を務めた。デレヴャンコさんは、春日中の生徒の質問に答える形で、日本語とウクライナ語を交え、ウクライナの食文化や戦争の状況などを説明した。 首都・キーウから15キロほど離れた小さな町の出身。開戦日の朝、自宅から数キロ離れた飛行場が爆破されたという。「大きな爆発音がした。突然のことで、何が起きたか分からなかった。誰かが『戦争だ』と叫んだ。パジャマ姿でとにかく逃げた」と振り返った。 その後も飛行場近くで集中的に爆撃があり、2週間は爆撃音が頻繁に聞こえた。身を案じ、祖父母が住む静かなまちに避難。それでも、遠くの方から爆発音が聞こえてきて、地下シェルターに逃げ込むこともあった。来日後も大きな物音を聞くと、爆撃の恐怖がフラッシュバックするという。 日本での暮らしについて聞かれると、「学校でたくさん楽しいことがある。日本食はたこ焼きや団子、ラーメンが好き」と笑顔を見せた。 将来の夢や願いを問われると、「戦争が始まったとき、こんなに長く続くとは思わなかった。そんな中で将来を描くのは難しい」と吐露し、「一つは戦争が終わること。ウクライナの実家に帰り、父やお兄ちゃん、おじいちゃん、おばあちゃんと抱きしめ合って再会の喜びを感じたい」と願った。 交流した生徒は「ウクライナについて詳しくは知らなかった。ウクライナの人の気持ちを文化祭で発表したい」、別の生徒は「平和についてもっと考えようと思った。ウクライナで起きていることをいろんな人に知ってほしい」と話した。