国内初の「放射性治療薬」、最終治験を開始…病巣に集積し放射線を出して内部からがんを攻撃
国立がん研究センターなどの研究チームは25日、悪性脳腫瘍の患者を対象に、がん細胞に放射性物質を送り込んで攻撃する「放射性治療薬」を投与する最終段階の治験を今月に始めたと発表した。生存率などから治療効果を検証する。実用化されれば、国内で開発された初の放射性治療薬となる。この治療薬は、体内でがんの病巣に集積し、ベータ線などの放射線を出して内部からがんを攻撃する。
研究チームは、2018年以降に悪性脳腫瘍の再発患者らを対象に行った第1段階の治験で安全性を確認した。この治験では、難治性の「膠芽腫(こうがしゅ)」の再発1年後の生存率は56%で、従来の30~40%よりも高いなどの有効性も示唆されていた。
最終段階の治験の対象は、膠芽腫を含む、悪性神経膠腫(こうしゅ)のうち、抗がん剤治療などを受けた後に再発した患者。治験は29年3月まで行う予定。
治験の責任者を務める成田善孝・同センター中央病院脳脊髄腫瘍科長は「治験に参加したい患者は、まず主治医に相談してほしい」と話している。