高額療養費制度の所得階層を13に細分化 上限額引き揚げる方針
医療費の患者負担に月ごとの上限額を設ける「高額療養費制度」の見直しをめぐり、厚生労働省は12日、所得階層ごとの上限額上げ幅のイメージを社会保障審議会医療保険部会(座長=田辺国昭東京大教授)に示した。上限額を決める階層を現在の5区分から13区分に増やした上で、所得の高い区分ほど高い上げ幅を適用する。負担能力に応じて今よりも多い負担を求める考えで、2025年の夏以降に実施する。 現在の上限額は、年収約370万~770万円の人で8万100円程度、年収約770万~1160万円の人で16万7400円程度。見直し案は、年収約370万~770万円の人について10%程度引き上げ、月の上限額を約8万8000円とする方向で調整されている。 高額療養費制度は、入院などで患者の自己負担額が高くなった場合、年収に応じた上限額を超えた分を医療保険制度で払い戻す仕組み。患者が70歳以上かどうかによっても上限額が異なる。 2021年の高額療養費の支給件数は6198万件。支給額は2兆8500億円で、15年と比べ14%アップし、国民医療費の伸びを上回る。1件当たりの支給額も増えている。 仮に、年収約370万~770万円の人の上限額を10%引き上げると、給付費は年間で5000億円縮減できる見込みという。 厚労省は上限額を引き上げることで保険給付の伸びを抑え、現役世代の保険料負担の軽減につなげたい考えだ。約10年前と比べて賃金や物価が上昇していることを理由に、引き上げる方針だ。