サービスメカニックの頂点を目指す! ボルボのアフターセールス競技大会開催! 普段の汗と努力が実を結ぶ!
■謙虚で親切な対応にさすが!
さて、アフターセールス競技大会「VISTA2024」のクラスごと競技内容と結果をお伝えしていこう。 「サービス&リペア コアクラス」および「サービス&リペア プラスクラス」では、準決勝戦を勝ち抜いた上位10チーム(2クラス合わせて40名)が決勝大会に進出。 まず、「サービス&リペアコア」クラス。ボルボではメカニックをパーソナル・サービス・テクニシャン(PST)と呼び、このPTSを含むサービススタッフが対象で、1チーム2名で競技を行う。 競技は1チームの持ち時間は16分、2名のお客様が時間差で来店し、PSTを含む2名のサービススタッフが、お客様が提起した問題を問診し、診断アプリケーションを利用して、すぐに問題解決の手段を瞬時に組み立てて、いかに早く直すことができるかを見る。もちろん、サービス受付時の接客スキルおよび知識、診断アプリケーションの理解度も問われる。 今回の故障個所は、顧客からはエンジンチェックランプが点灯したが、走行には特に影響がないという報告を受けている。先に種明かしをしてしまうと、不具合の箇所は、エンジンに空気を吸入する際のセンサー、エアフロセンサーの不良。グローブボックスが開かないのでDTC(故障診断機)が入らないという状況のなか、どこから手をつけたらいいのか、わからないという状況を作ったという。 不具合を突き止めるためには、100以上あるという顧客が訴える症状をコード化したCSCコード(カスタマーシンプトムコード)を、ボルボ専用診断機VITAに入力すると、関連性のあるチェックポイントがランキング形式で表示される。この表示されたチェックポイントをもとにPSTたちは故障原因を突き止めていくという。 この「サービス&リペア コアクラス」の優勝はボルボ・カー杉並(ボルボ・カー・ジャパン株式会社)の渡邉宏之さん、箱崎陸さん。 準優勝はボルボ・カー高松(双日オートグループジャパン株式会社)の山崎浩二さん、岸上真人さん。3位は埼玉サービスセンター(ボルボ・カー・ジャパン株式会社)の原麻由美さん、勝田繁さんとなった。 競技大会の運営側はどのようなところを見ていたのか?以下の5点を以て審査したという。 1:ボルボブランドにふさわしい接客ができているか? 2:ボルボ最新の知識、サービス全般に対する知識をもっているか? 3:問診、提案のスキルをもっているか?お客様の質問を掘り下げることで次の診断につなげ、故障個所、原因をしっかりとお客様に伝えているかどうか。お客様の不安を払拭し、お客様の気持ちに寄り添っているか、それがケア、表情および態度に出ているか? 4:カスタマーサービス、おもてなしの姿勢があるかどうか。それが行動や言動に出ているかどうか 5:2人1組でしっかり連係しているかどうか では、どのように接客対応していたのか、サービス&リペアコアクラスで優勝したボルボ・カー杉並(ワークショップサポートの渡邉宏之さんと、PTSの箱崎陸さんの接客対応について一部抜粋して紹介していこう。 ショールームに見立てて右側には椅子とテーブル、左側にボルボEX30を展示している。そこへ、顧客(お客様)が入ってくる。 スタッフ:本日はいかがなさいましたか? 顧客:担当の箱崎さんはおられますか? PST:あいにくほかの整備をしていまして、なにかございましたか? 顧客:クルマのメーターにメッセージが出たので見てもらいたいと思いまして。 スタッフ:さようでございましたか。さっそく拝見させていただきます。お席を用意させていただきます。(スタッフが椅子を引いて顧客座る)。それではさきほどご案内しましたとおり、箱崎がほかの作業をしております。もしよろしければ私が担当させていただきます。よろしいでしょうか? 顧客:あ、いいですよ。はい。 スタッフ:ご挨拶が遅くなりました。ワークショップサポートの渡邉宏之と申します。私もこちらでよろしいでしょうか(といって椅子に座る)。初めましてご来店ありがとうございます。ご心配をおかけしまして申し訳ございません。警告が表示されるとお聞きしました。 顧客:そうなんです。家を出たらすぐにメッセージが出て、写真を撮ったんでこれを見たら早いと思います。推進システムの点検が必要です。あと点検整備が必要ですと出ていました。 スタッフ:見つけていただきありがとうございます。そうしましたらおクルマの挙動で何かおかしいところはございましたか? 顧客:いや乗っていて感じなかったので普段通りだと思います。逆になぜと思ってしまいました。 スタッフ:さっそくおクルマを移動させていただきまして診断に入らせていただきます。 ―PST(もう一人、パーソナル・サービス・テクニシャン、箱崎さん)が来るー PST:すみません、先ほどまでほかの作業をさせていただいておりました。(こちらに失礼しますと言って座る)。推進システムでございますね。エンジン系統ですね。さきほど渡邉のほうから案内があったと思いますけれども、渡邉と連携しながら、私のほうでしっかり点検させていただきます。20分前後お時間をいただき、しっかりと見させていただきます。 ―3分間の診断時間を経てー PST:お待たせしました。おクルマの状況がわかりましたのでお知らせ致します。改めまして倉田様ご迷惑をおかけしまして申し訳ございません。今日、私のほうでしっかり点検させていただきました。ボルボ純正の診断機を接続させていただきました。倉田様がおっしゃられていました推進システムの点検が必要です、という項目と、エンジン系統の点検が必要ですという項目です。こちらのメッセージに付随しましてここにDTCという、クルマの状況、どこが悪いのかという自分で調べる機能があるんですが、このDTCで症状を拝見させていただいた上で、そちらの順番にそって点検させていただきました。 ―タブレットを見せながらー PST:エンジンルームの助手席にあります大きな黒い箱があるんですが、そちらに空気をどれだけ吸入しているか計るエンジンのセンサーがあります。こちらのセンサーの不良が今回の原因になります。 ―ここで、女性客が訪れてスタッフ(渡邊さん)が対応する(空気圧のチェックについて)。この後も接客が続く……。 といった感じで、後半は女性客の応対を渡邊さんが、エンジンチェックランプが点いたと来場した顧客の応対を箱崎さんが行った。顧客との話し方は謙虚でとても丁寧、困ったことがないか聞く応対の仕方など、見ているこちら側にとっても心地よい安心して見ていられる接客だった。