廃盤の絶版部品「燃料コック用の樹脂レバー」を自家工作で複製しよう
注型=注ぎこむ入口はガムテープで養生
元型を抜き取るとカット部分は自己復元するが、それでもやはり切り口は開き気味になってしまうため、注型作業時にはカット部分がしっかり閉じるようにしなくてはいけない。カット部分は、ガムテープ(布テープ)を巻きつけて固定。カット部分をしっかり閉じたら、注型口の周辺もガムテープですり鉢形状を作る。
主剤と硬化剤を混ぜるハイキャストを利用
いよいよ注型作業だが、その前に段取り。紙コップを利用してA液B液を準備した。今回は1個しか複製できない型なので、ハイキャスト樹脂の作り過ぎに要注意。多く作ると無駄になってしまう。元型の重量を測定してから、ハイキャストを混合する。元型部品の重量が24グラムだったので、余裕を見て30グラムのハイキャストを用意することにした。A液B液の2液式なので、A/Bそれぞれ別々の紙コップ15グラムずつ用意。50対50の混合比だ。A液B液をこぼさないように混ぜて割り箸でしっかり攪拌した。ハイキャスト1~2分で硬化開始するので作業は手早く迅速に!!布ガムテープで作った土手のようなすり鉢の注ぎ口にハイキャストを流し込む。こぼれないように注意しながら注入し、時折、指先で型をコンコンと突いてエアー抜き促進した。
完全硬化後に型取くんを開けば部品ポロリ
完全硬化までの時間は約10分から20分。強度がより高いエポキシ系キャスティング樹脂とは違い、アッと言う間に硬化する。エポキシ系の場合は熱を加えないと完全硬化しにくい。念のため30分程度経過後にガムテープを剥がして脱型したが、ご覧のようにイイ感じの仕上がりになった。若干のバリはカッターナイフの刃を横に滑らせて削るのが良いようだ。 肝心の軸部分(燃料コックのコントロールプレートに差し込む丸軸部分)は、コック本体との合わせを行なうまでバリ取りなどしないことにした。抜け止めDリングの溝も思い通りに仕上がった。 ────────── POINT ポイント1・樹脂部品なら何とか複製できる!?しかし大き過ぎる部品は難しい ポイント2・行き当たりばったりの作業進行ではなく、使うものは事前に準備段取りまでしっかり進めよう ポイント3・型取り段階で徹底的にこだわることで仕上がりが確実に良くなる。脱型後の追加工は最低限にとどめよう ────────── 小さなプラスチック部品や絶版で廃盤扱いになってしまったメーカー純正部品が手に入らないため「不便な想い」をしたことがあるバイクファン、旧車ファンは数多いはずだ。そんなときに「複製部品があれば、作ることができれば……」などと真剣に考えるのがサンデーメカニックだろう。デイトナから発売されている「型取くん」は、比較的低温で軟化するポリエチレン樹脂を素材とし、その名の通り「部品の型取り」を行なうために誕生した補修用材料である。 例えば、バイクの樹脂製カウルの締め付け穴や爪部分が折れたり欠落した場合、また、サイドカバーを抜き取ろうと引っ張ったら、ゴム製グロメットに刺さる「突起部分が折れてしまった」といったケースでは、この型取くんが活躍する。 樹脂部品の補修や成型や充填材として「プラリペア」を利用できるが、型取くんで作ったメス型の中にプラリペアを充填すれば、元型さえあれば樹脂製部品も複製可能。今回、用意したのはプラリペアではなくフィギュア作りの素材として模型専門店などで取り扱われている「ハイキャスト」という商品名の、無発泡ポリウレタン樹脂(ブラック)。複製したい樹脂製小物部品が燃料コックのレバーだったため、プラリペアのようなアクリル系樹脂素材よりも、ポリウレタン樹脂の方が「耐ガソリン性が少しでも良好なのではないか?」との考えによるチョイスだ。
たぐちかつみ