アウトドアグッズで災害時の臨時ライフラインを確保 ― 用意しておくと安心な基本用品を専門家が解説
近年、キャンプやアウトドアを楽しむ人が急増しています。実は、キャンプやアウトドアで愛用されるグッズは、災害時などいざというときに役に立つアイテムとして注目されているのをご存じでしょうか。アウトドアライフアドバイザーの寒川一さんは、10年ほど前からアウトドアの知識やグッズを使って災害に備える方法を教えています。寒川さんに、これだけはおさえておきたい災害時に役立つアウトドアグッズと、その活用方法についてうかがいました。(Yahoo!ニュース Voice)
床・地面から体温が奪われるのを防ぐには、マット・寝袋・トラベルシーツが役に立つ
――アウトドアグッズを災害時に活用するために、まず何から考えるべきでしょうか。 寒川さん: 人が生きていくために一番重要なのが「体温保持」です。いくら食料や水があっても、体温が失われたら命に関わります。それに、災害は季節を問わず発生しますから、真冬の寒い時期に避難所生活をしいられる可能性もあります。体温を保持するためにアウトドアグッズを活用することができれば、快適に過ごすことができ、命を守ることができるのではないかと思うんです。
――体温保持のために、どういったアウトドアグッズを活用すればよいのでしょうか。 寒川さん: まずは「マット」ですね。表面がデコボコしたマットを選びましょう。凹凸が体温を守るための空気層を作ってくれるのです。銀色の面のあるマットなら、自分の熱を反射させる効果もあります。寒いときは銀色の面を上にして、暑いときは裏返しにすると、冬は暖かく、夏は涼しい。1枚で暑さも寒さもカバーできるのです。折りたたみ型であれば座布団代わりにもなります。
マットとセットで考えるべきなのが「寝袋」。寝袋の中綿は羽毛でできているので、空気を抜いて圧縮するとコンパクトになるのも特徴です。寝袋だけでは寒い場合は、シュラフカバーも合わせて使うと中に空気層ができるのでより暖かくなります。 コットンやウール、シルクなどで作られた薄い「トラベルシーツ」もおすすめです。防虫効果もあるので、避難所で支給された毛布などを使うのに抵抗がある場合は、このトラベルシーツに入ってその上から毛布をかけるといいでしょう。コンパクトなので邪魔にもなりません。 ただ、体育館などで避難する場合は、マットのほうが寝袋よりも重要です。床の上に寝る場合、床に接している背中から熱が逃げていくからです。いくらいい寝袋を持っていたとしても、マットがなければ背中から熱が逃げてしまう。逆に凹凸のあるマットで空気の層を断熱が作ってできていれば、寝袋がなくても上から何かで覆うだけであたたかくなり、体温保持ができるのです。