<ボクシング>村田諒太 プロ2戦目勝利の意義
「デビュー戦がいい試合だったので、またいい試合をしなければならないと体が堅くなったのかもしれません。ぶさいくな試合ですが、TKOに持ち込めたのは大きいと思います。スタミナという面で8回を経験できた。勉強だとポジティブに捉えたいと思います」 試合後、村田の顔は赤く腫れていた。 私は、まずデイブ・ピーターソンの控え室に走った。 「パンチは重く感じたが、効いたものはなかった。パンチ力というより体全体のパワーが凄かった。そのパワーを使って重心をかけてくるので私のバランスやスタンスが狂わされた」 13勝(8KO)1敗のキャリアを持つ27歳は、プライドを持って倒れはしなかった。プロ2戦目の村田の課題は何か?とたずねると「ジャブとボディのガード」と答えた。 ■5R以降は未完成のプロスタイル 実は、5ラウンドからやったボクシングは、現在、取り組んでいる最中の未完成のプロスタイルで、まだ実践で使える段階にはなかった。 村田の技術面もチェックしている本田明彦・帝拳プロモーション代表は、「判定で終わってもおかしくない試合をTKOで終わらせたのが非凡な点。これまで4ラウンドのスパーもやったことのなかったアマチュアボクサーが2戦目で8回戦ですよ。周囲の期待値が高すぎるので、本人も相当のプレシャーがある。その中でバテながらも8ラウンドを試すことができた。左ジャブから崩し左フックも決めた。100点をあげたい」と、“プロ2戦目”としての成長度に満点を与えた。 ■異例のステップで世界を目指す村田 村田は、世界的な名プロモーターであるボブ・アラム氏と契約しているが、過去にミドル級の伝説ボクサーを何人も生み出してきた、そのトップランク社では、4回戦3試合、6回戦3試合、8回戦3試合を経て、ようやく世界ランカーと対戦させていくのが、基本的な中量級ボクサーの育成システム。2試合目で、いきなり8回戦を戦うことは、異例のステップだと言う。 「ミドル級というのは、軽量級とは違うものなんだけど、そこがなかなか日本では理解されない。私としても3年もらえればなんとか(世界王者に)と思うのだが、周囲がそこまで待ってくれない。10試合で世界ランカーと戦えるように、と考えている。次はマカオのイベントだけど8回戦。対戦相手は、またトップランクが指定してくる」と本田代表。村田は、世界ベルトに辿り着くまで立ち止まることが許されないのである。