中村悠一、緩急を生む“声芝居の妙” 『逃げ上手の若君』諏訪頼重は早くもハマり役に
『逃げ上手の若君』の第四回「貞宗登場!」が、TOKYO MX・BS11ほかにて放送された。主人公・北条時行の逃げ上手の才を見抜き、鎌倉幕府奪還のために協力する信濃国・諏訪大社の当主である諏訪頼重を演じているのが中村悠一だ。同作は夏アニメの中でも大きな注目を集めているが、ストーリーが進んでいくたびに頼重演じる中村の演技が話題を呼んでいる。 【写真】ふてくされ、“ぷく顔”を披露する諏訪頼重 『魔人探偵脳噛ネウロ』や『暗殺教室』(ともに集英社)の作者でもある松井優征が『週刊少年ジャンプ』で連載している同名漫画をアニメ化した本作。足利髙氏の謀反によってすべてを失った時行が逃げ落ちてたどり着いた諏訪の地で、信頼できる仲間と出会い、鎌倉幕府奪還を「逃げて」「生きて」乗り越えていく物語である。逆襲に燃える主人公という構図はいかにも少年漫画らしいが、本作の主人公である時行は優れた武術があるわけでも、キレる頭脳があるわけでもない。ただひたすらに逃げることに特化した稀代な主人公だ。 中村が演じる頼重は、人であり神でもある「現人神」と呼ばれ、民から絶大な信仰を集めている諏訪大社の当主。神力を操ることができ、未来を見ることができるが、どこか胡散臭い。もはや言うまでもないが、中村は『おそ松さん』の松野カラ松役をはじめ、『呪術廻戦』の五条悟役、『魔法科高校の劣等生』の司波達也役など、二枚目キャラからトリッキーなキャラまで幅広く演じている。特に『呪術廻戦』の五条のように、自由人で掴みどころのないキャラクターをかっこよく演じきる技術はお見事だ。 第一回では「噂通りの逃げ上手でございますな!」とコミカルな演出で時行の前に姿を現した頼重。コミカルなシーンでは中村の喜怒哀楽が炸裂する一方で、鎌倉幕府が滅亡した場面では淡々とした口調で時行を導いていく。ともすると、そんな頼重の二面性は違和感として現れてしまう可能性もあるが、中村は緩急を丁寧に演じることで上手く表現している。