全港湾がスト通告 米軍艦の石垣沖合停泊で 物流への影響懸念
米海軍第7艦隊所属のミサイル駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」(排水量約9500㌧、全長155・3㍍、乗員約300人)の石垣港入港計画をめぐり、接岸せずに沖合に停泊する場合でも全日本港湾労働組合(全港湾)の沖縄地方本部が「労働者の安全が確保できない」として、ストライキの実施を計画していることが、17日わかった。ストが実行されれば石垣市をはじめ八重山への物流が止まり、市民生活への大きな影響が避けられない事態となる。 石垣市は海上保安庁を通じた同艦の入港要請に対し、技術上の基準を満たしておらず航行の安全を確保できないため、入港は不可と判断。9日に石垣海保に回答した。 米側は、洋上で戦闘任務を行うイージス艦である同艦を3月11日から同14日まで石垣港に寄港させ、乗員の休養と物資補給を行うことを計画。市に対し、石垣海上保安部から日米地位協定に基づき通告していた。 全港湾は同艦が岸壁に接岸するだけでなく、石垣島の沖合に停泊する場合でも危険と判断。ストライキを指示した。大型貨物船の石垣入港だけでなく、那覇港からの出港も止まるため、宮古島も含め離島地域への物流が停止する可能性が指摘されている。 全港湾沖縄地方本部の波照間忠執行副委員長は「ストを実行すれば1週間ほど物流は止まる」との認識を示しながら、「なぜ、わざわざ入港させるのか。全港湾としては港を守る必要がある」と、沖合停泊も含め、入港を阻止する構え。 同艦の吃水は9・8㍍、接岸を予定する新港クルーズバース地区は水深10・5㍍だが、基準では風や波の影響を考慮し最低でも吃水に10%を加えた「余裕水深」が必要。同艦の場合、約10・8㍍になり、10・5㍍を超えるため、石垣市は入港不可と判断した。 同艦は今月9日まで北海道の小樽港に停泊。乗員の休養と物資の補給を実施した。