なぜ次代の名捕手は生まれないのか
古田氏も、野茂氏に「アマチュア時代は金属バットでセーフティーバントしかしていなかった」と冷やかされた程度だったバッティングを、プロに入って劇的に進化させた。 ノムさんも、3冠王獲得の裏に、配球を読む、癖を盗むという弱者の理論があった。里崎氏も「僕も2002年に23打数1安打の数字しか残せなかった、2003年には78試合に出場して打率.319となったが、ストレート待ちで変化球に対応できるような技術がなかったので、配球を読みヤマを張って打つことを研究して実践したからです」と言う。 昨秋のドラフトでは、捕手が弱点のチームは、どこも将来性のある高校生捕手に目をつけて、日ハムは2位で清水優心(九州国際大付高)、ソフトバンクも2位で栗原陵矢(春江工)、ヤクルトも3位で山川晃司(福岡工大城東)を指名、ロッテ、中日は、大学生の即戦力に近い捕手を押さえて、危機感を抱き育成に本腰を入れている。 里崎理論から言えば、打撃センスを持った西武・森の守備力向上か、オリックス・伊藤、巨人の小林らの努力による打撃開眼に名捕手への可能性がありそうなのだが、当分は名捕手不在時代が続きそうである。